楽天グループは9月18日、動画配信サービス「Rakuten TV」のパ・リーグ定額見放題「Rakuten パ・リーグ Special」で、AIが選手の成績データを深掘りし、試合の場面に合わせた実況・解説のようなコメントをリアルタイムに作る「AI解説者(β版)」の提供を始めたと発表した。試合をライブで視聴しているときだけ使え、テレビの画面では利用できない。同社が5月に始めた映像ダイジェストに続く、パ・リーグ配信でのAI活用の2つ目となる。

「定型文速報」ではなく、その場面の文章を作る

楽天TVのキャンペーンページは、この機能を「定型文速報とは異なる、試合展開に応じた臨場感のある解説テキスト」と説明している。野球のテキスト速報はこれまで、「空振り三振」「中前安打」といったあらかじめ用意した言い回しを結果に当てはめる方式が中心で、同じ結果には同じ文が並んだ。AI解説者は、その打席・その局面に合わせて文章そのものを作る点が違う。

仕組みは機能の注意事項ページに記されている。試合映像と、外部のデータ会社から提供される選手成績・統計情報を生成AIが分析し、試合状況に応じた解説テキストを自動で作って配信する。統計データを出しているのはデータスタジアムで、楽天は同社について「選手成績・統計データの提供のみを行っており、本機能の企画・開発および生成AIによる解説文の生成には関与しておりません」と明記した。データの出し手と、文章を作る側の責任を分けて示している。

「不正確または不適切な内容が含まれる場合がある」

楽天は同じ注意事項で、生成AIの特性上、不正確または不適切な内容が含まれる場合があるとし、生成物の正確性・適切性・完全性・最新性・目的適合性といった品質は保証しないと記した。生成された解説は「野球観戦をより楽しんでいただくための参考情報」であり、公式記録や公式見解を示すものではないという位置づけだ。元になる統計データについても、正確性・完全性・最新性は保証しないとしている。

賠償の範囲も限定した。楽天に責めるべき事由がある場合でも、賠償は実際に生じた直接かつ通常の損害に限り、逸失利益や特別損害、間接損害は対象外とする。賠償額の上限は「パ・リーグ Special」の利用料で、ただし故意または重大な過失による場合はこの制限を適用しないとした。

スポーツ中継に生成AIの文章を流す以上、誤った打率や記録が画面に出る可能性は残る。楽天が機能名に試験段階を示す「β版」を付け、専用の注意事項ページを設けたうえで「公式記録ではない」と断ったのは、その前提を利用者に示すためだ。

使えるのは有料会員と楽天モバイル契約者

利用対象は「Rakuten パ・リーグ Special」の月額・年額プランの有料契約者と、「楽天モバイル」の「Rakuten最強プラン」「Rakuten最強U-NEXT」の契約者。楽天モバイルの該当プラン契約者は、追加料金0円で「Rakuten パ・リーグSpecial for 楽天モバイル」を視聴できる。月額プランの料金は、5月の発表時点で通常税込702円だった。スマートフォンアプリで使うにはアプリを最新版に更新する必要があり、テレビには対応していない。

21日と26日に計6試合を無料配信

提供開始に合わせ、9月21日から「AI解説者」のトライアルキャンペーンを行う。楽天IDでログインし、無料でライブ配信される公式戦のいずれか1試合をライブで視聴したうえで、AI解説者に関するアンケートの全設問に答えると、抽選で10名に1万円分の「楽天ポイント」(期間限定)が当たる。有料契約者や楽天モバイル契約者でなくても参加でき、AI解説者を実際に使うことは応募の必須条件ではない。

無料配信の対象は、9月21日の楽天-ソフトバンク(午後1時)、日本ハム-オリックス(午後2時)、ロッテ-西武(午後6時)と、26日の西武-ロッテ(午後2時)、オリックス-日本ハム(午後2時)、ソフトバンク-楽天(午後6時)の計6試合。アンケートの回答期間は21日午後1時から30日午後11時59分までとなっている。

「Rakuten パ・リーグ Special」は、パ・リーグ球団主催の公式戦全試合とクライマックスシリーズ、一部のオープン戦、試合後のヒーローインタビューなどを配信している。今季からは二軍にあたるファーム公式戦と球団の応援番組も加えた。5月19日に始めた「全球ダイジェスト」は、1試合のすべての投球シーンをAIでつないで短時間に試合の全容をつかめるようにした映像で、AI解説者はこれに続く拡充にあたる。