政府は7月10日、第5回となる「人工知能戦略本部(AI本部)」を開き、第2期の「AI基本計画」の案を決定した。本部長を務める高市早苗首相は同日、自身のXで「今朝、第5回『人工知能戦略本部(AI本部)』を開催し、第2期『AI基本計画』の案を決定した」と報告。「高性能AIは、我が国の課題解決と国力強化に直結する一方、サイバー攻撃への悪用など、新たなリスクも懸念されている」と述べ、AIの活用と安全確保をどう両立させるかを課題に挙げた。
「AI基本計画」とは何か
AI基本計画は、研究開発から産業応用、行政での利用、安全対策までAIに関する国の施策を一つに束ねる、いわば司令塔の役割を担う計画だ。2025年5月に成立したAI関連法(人工知能関連技術の研究開発・活用の推進に関する法律)に基づいて策定され、2025年12月23日に初めて閣議決定された。初回の計画は「『信頼できるAI』による『日本再起』」を掲げ、AIを経済成長や社会課題の解決につなげることを目標に据えている。
AI本部は首相を本部長、全閣僚を構成員とする政府の会議体で、この計画の司令塔となる。分野をまたぐ横断的な政策のため、各省庁がばらばらに動くのではなく、政府全体で足並みをそろえて進める狙いがある。
なぜ「毎年」見直すのか
異例なのは、この計画を当面は年に1回のペースで見直す方針をとっている点だ。通常、国の基本計画は5年程度を一区切りとすることが多いが、AIは技術の進歩や国際情勢の変化が極めて速く、数年前に立てた計画がすぐに実態と合わなくなる。そこで、状況に応じて素早く軌道修正できるよう、短い周期で改定を重ねる「アジャイル(機敏)」な運用をとっている。今回決まったのは、その最初の改定にあたる第2期の案だ。
第2期の素案は6月19日に公表され、広く国民から意見を募るパブリックコメントにかけられた。寄せられた意見を踏まえて今回の案が決定された形で、今後は閣議決定を経て正式な計画となる見通しだ。
「活用」と「リスク」の両立が焦点
高市首相が言及したように、政府は高性能AIを国力強化の柱と位置づける一方、その悪用リスクにも神経をとがらせている。とくにサイバー攻撃は、AIによって手口が高度化・自動化する懸念が指摘されており、防御側の備えが追いつくかが問われている。実際、この日は自民党の会議でも米OpenAIの日本法人からサイバーセキュリティの取り組みを聞き取るなど、AIと安全保障を結びつけた動きが相次いだ。攻めのAI活用と守りのリスク対策をどう両立させるかが、第2期計画の実効性を左右する。