米連邦政府一般調達局(GSA)は9月10日、対話AI「ChatGPT」を運営する米オープンAIと新たな調達契約を結んだと発表した。ChatGPTの各モデルについて、使った分だけ支払う従量課金の利用料を50%割り引く。2026年10月1日に発効する見通しで、契約期間は27か月だ。
基本料はゼロ、州や地方の政府も同じ条件で
割引の対象は「トークン」(AIが文章を読み書きする際に数える単位)に応じて課金される利用料で、FedRAMP(米政府がクラウドサービスの安全性を審査して認定する制度)の認定を受けた環境で動くモデルも含まれる。プラットフォームの基本利用料、最低発注量、支出額の約束はいずれも設けず、各機関は使った分だけを支払う。
対象は連邦政府の行政・立法・司法の3府にとどまらない。州政府、地方政府、先住民の部族政府も同じ条件で調達できる。発注はGSAから直接のほか、販売代理店や、対応するクラウドの購入窓口(マーケットプレイス)を経由する方法も選べる。契約には職員向けの研修・導入支援と、政府のデータを守るためのGSA独自のAI利用条件が組み込まれている。
「1機関1ドルで1年」からの切り替え
GSAとオープンAIは2025年8月6日、参加する連邦機関が1ドルを払えば1年間、法人向けの「ChatGPT Enterprise」を使える契約を結んでいた。加えて60日間は高性能モデルを無制限に使える条件も付いていた。実質的に無償で配り、まず触ってもらう形だった。
今回はその次の段階にあたる。GSA連邦調達サービスのローラ・スタントン長官代行は「各機関が長い調達手続きに踏み切る前に新しい技術を試せるように、OneGovのAI契約を始めた」としたうえで、「各機関がAIを通常の業務に組み込むようになった今、従量課金でのアクセスを用意することが次の当然の一歩だ」と述べた。無償配布による試用から、日常的に使われることを前提にした料金体系へ移る。
節減額16億8000万ドル、その大半がAI
OneGovは、各機関がばらばらに買うのをやめ、GSAが政府全体を代表してまとめて値引きを交渉する調達の枠組みを指す。GSAによると、開始以来の節減額は累計で約16億8000万ドルに達している。このうち約14億ドルはAI関連の契約によるもので、約350万人の連邦職員がAIツールを使える状態になった。GSAは期限が切れた契約を必要に応じて更新していく方針だ。
エドワード・フォースト長官は「OneGov戦略は、高度なAI機能を各機関の業務に組み込むことで、連邦政府を将来に向けて位置づけるものだ」とコメントした。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は「公務員が最良のAIツールに安全にアクセスできるようにすることは、政府の効率を高め、サイバーセキュリティを強化し、人々が頼るサービスの改善につながる」と述べた。
今回の契約は、ホワイトハウスがまとめた「アメリカのAI行動計画」と、行政管理予算局(OMB)が各機関に出した2本の通達に沿うものと位置づけられている。各機関は発効後、GSAが複数の事業者と結ぶ包括契約枠「マルチプル・アワード・スケジュール(MAS)」を通じて発注できるようになる。
