歌舞伎俳優・市川團十郎さんに密着したドキュメンタリー映画「襲名」が、9月25日に全国で公開される。7月6日、映像の一部を見せる本予告とポスターが解禁された。監督は、映画「十三人の刺客」などで知られる三池崇史さん。三池監督にとって、初めてのドキュメンタリー作品となる。
「襲名」とは何か
歌舞伎の世界では、由緒ある名前(名跡)を次の世代が受け継ぐことを「襲名」と呼ぶ。芸名を継ぐと同時に、その名が背負ってきた芸や格式、責任までも引き受ける、極めて重い節目だ。
なかでも「市川團十郎」は、歌舞伎を代表する大名跡で、屋号は「成田屋」。歌舞伎の魅力を凝縮した名場面集「歌舞伎十八番」を家の芸とする、別格の存在だ。かつて市川海老蔵として人気を集めた俳優が、この團十郎を継いだ。
3年以上の密着と「親子同時襲名」
映画は、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演の舞台裏を、3年以上にわたって追った記録だ。本来の襲名は新型コロナウイルスの感染拡大で2年半にわたって延期され、その困難を乗り越えて実現した歴史的な瞬間を捉えている。
本予告では、歌舞伎十八番の「勧進帳」を演じる團十郎さんの姿を軸に、一人の父として、そして「團十郎」という名を継ぐ者として、息子の市川新之助さんとともに親子同時襲名に臨む舞台裏が映し出される。伝統を「継ぐ」ことと、一人の「個」としての葛藤の両方に、カメラが迫る。
先行上映も
公開に先立ち、9月4日から10日までの7日間、東京・三越劇場で特別先行上映が行われる。初日には團十郎さん、新之助さん、三池監督が舞台あいさつに立つほか、翌5日には、公演の「祝幕」を手がけた現代美術家の村上隆さんも登壇する予定だ。歌舞伎になじみのない人にも、伝統芸能の継承という日本文化の節目を、映像で身近に感じられる作品となりそうだ。