メタバース企業のHIKKY(東京)が主催するVRイベント「バーチャルマーケット2026 Summer」が7月11日、開幕した。26日までの16日間開かれる。今回で通算16回目の開催で、VR機器やパソコンから無料で参加できる。1回の開催で世界中から延べ130万人以上が訪れ、出展ブースの最多数として4つのギネス世界記録に認定されている。開幕当日はX(旧ツイッター)で関連ワードがトレンド入りし、参加者の投稿が相次いだ。

「パラリアル」秋葉原とブロードウェイ

今回のVR会場は2つ。実在の街を仮想空間に再現した「パラリアル秋葉原」と、ニューヨークの劇場街をモチーフにした「パラリアルブロードウェイ」だ。「パラリアル」はHIKKYが使う造語で、現実(リアル)と並行して存在する(パラレル)街、という意味合いを持つ。現実の街並みをそのまま写し取るのではなく、看板や建物の意匠を残したまま仮想空間の演出を加える手法で、来場者が「知っている街」を歩く感覚のまま企業ブースやクリエイターの出展を巡れるようにしている。

バーチャルマーケットは名前のとおり「展示即売会」の性格を持つ。アバターや3Dモデル、アクセサリーなどをクリエイターが並べて売り買いする即売会が中核にあり、その周囲に企業ブースが立つ構造だ。VRイベントというと視聴型の催しを想像しがちだが、来場者は自分のアバターで会場を歩き、他の参加者と会話しながら商品を試着・試用できる。この「歩ける展示会」という体験が、コミックマーケットなど現実の同人即売会に近い熱量を生んできた。

文科省や自治体も出展、17社・団体

企業ブースには17の企業・団体が出展する。パラリアル秋葉原には、アース製薬、富士急ハイランド、サントリー、マウスコンピューター、能美防災、城北信用金庫、群馬電機に加え、文部科学省が並ぶ。パラリアルブロードウェイには、ユニバーサルエンターテインメント、大丸松坂屋百貨店(Jフロントリテイリング)、青山商事、AlphaTheta、サミー、PIMAX、NuNuAI、フェイスウィン、そして静岡県焼津市が出展する。

出展内容は、遊園地の絶叫マシンをVRで再現したコースター、殺虫剤メーカーによる害虫駆除ゲーム、防災機器メーカーの防災アクションゲームなど、自社の事業を体験に翻訳したものが目立つ。中央省庁や地方自治体が名を連ねるのは、若年層との接点づくりや広報を狙う動きで、テレビCMや紙媒体では届きにくい層に、遊びの形で情報を届けようとする発想だ。

会期末にはリアル会場も併催

25、26の両日には、東京・秋葉原のベルサール秋葉原1階・2階でリアル体験型のXRイベント「VketReal 2026 Summer」を併催する。こちらは通算5回目で、バーチャルマーケットから生まれた催しだ。仮想空間で完結させず、現実の会場にも足を運んでもらう構成は、VRを持っていない人や、アバターでの参加に慣れていない人を取り込む間口にもなる。会場を2つの街に絞り、企業ブースを17に抑えた今回は、規模を追うより体験の密度を高める編成となった。会期は26日まで続く。