実業家のイーロン・マスク氏は7月8日、自身のX(旧ツイッター)で、新しい対話型AI「Grok(グロック)4.5」を近く一般に公開すると表明した。生成AIの開発競争で先行するOpenAIやAnthropicを追う、マスク陣営の新たな一手となる。

「Opus級だが高速・低コスト」

マスク氏は、ベータ版のテストで利用者から強い好評を得たとして、翌9日にも「Grok 4.5」を一般公開すると説明した。性能については「Opus級のモデルだが、より高速で、トークン効率が高く、低コストだ」と述べている。

「Opus級」とは、米Anthropicの最上位モデル「Claude Opus」に匹敵する水準だという主張だ。Grokは、マスク氏のAI部門「SpaceXAI」が手がける対話型AIで、X上でも使えることで知られる。

買収したCursorと共同開発

このモデルは、SpaceXがAIコーディングツール「Cursor(カーソル)」と共同で訓練したものだという。SpaceXは6月、全株式交換で約600億ドル(約9兆円)を投じてCursorを買収する権利を行使したと発表していた。Cursorは、プログラマーの指示に従ってコードを書いたり修正したりする人気の開発支援ツールで、今回のモデルはCursorや開発者向けサービス「Grok Build」に組み込まれるとされる。

巨大な計算資源を持つマスク陣営が、開発者に強いCursorを取り込むことで、コーディング分野のAIで攻勢をかける狙いがうかがえる。

激化する生成AI競争

生成AIをめぐっては、OpenAIの「GPT」シリーズやAnthropicの「Claude」が市場をリードしてきた。そこへ、マスク氏のGrokが「高速・低コスト」を武器に割って入る形だ。各社は、より賢く、より安く使えるモデルを競って投入しており、開発の主戦場は、文章の生成から、自律的に作業を進める「AIエージェント」やコーディングの支援へと移りつつある。実際の性能が主張どおりかは、公開後の評価を待つ必要がある。