東京発のAIスタートアップ、Sakana AIは7月6日、対話サービス「Sakana Chat」に翻訳機能「Sakana Translate」を追加したと発表した。自社の言語モデル「Namazu(ナマズ)」を使い、日本語・英語・中国語を双方向に訳す。無料のWebアプリとして公開し、利用にはアカウント登録が必要となる。

一画面に「翻訳・添削・質疑」の3機能

Sakana Translateは、用途の異なる3つのモードを一つの画面に集約したのが特徴だ。

「翻訳(Translate)」は、文書や記事、メールなどを想定し、最大およそ5000字の長文をその場で訳す。「添削(Proofread)」は、文法の誤りを直すだけでなく、文章の自然さや敬語、読み手に応じた語調(フォーマルか、くだけた調子か)まで整える。「質疑(Ask)」は、訳した結果について「なぜこの訳になるのか」「別の言い回しはないか」といった質問を、同じ画面のまま重ねられる。

従来の機械翻訳は「訳して終わり」になりがちだったが、訳文を人と対話しながら磨ける点が新しい。

狙いは語調の「温度感」の再現

Sakana AIが強調するのは、言葉の「温度感」を保った翻訳だ。敬語のかしこまった調子や、ネットスラングのくだけたニュアンスは、直訳では失われやすい。Sakana Translateは、こうした語調まで含めて訳し分けることを目指すという。

翻訳の心臓部となるのが、日本語に合わせて調整した自社モデル「Namazu」だ。同社によると、翻訳品質は世界の主要モデルに肉薄するスコア帯に達したとしている。

Sakana AIとは

Sakana AIは、AI技術の土台となった論文「Attention Is All You Need」(トランスフォーマーの提唱)の共著者らが2023年に設立した、東京を拠点とするスタートアップだ。既存の巨大モデルを力任せに追うのではなく、小さなモデルを組み合わせるなど独自路線で知られる。

海外勢が主導してきた生成AIの分野で、国産AIをどこまで実用サービスに育てられるかが問われている。7月上旬には、同社の伊藤錬・最高執行責任者(COO)が国連の「AI for Good」グローバル委員会の創設委員に就くなど、国際的な存在感も高まっている。