核融合発電の実用化をめざすスタートアップ「Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)」と、大手建設会社の安藤ハザマが資本業務提携を結んだ。安藤ハザマは、Helical Fusionが進める発電計画の公式パートナーとなり、発電初号機の建設に向けて基本合意した。核融合が、研究室の外へ出て「発電所を建てる」段階に近づいてきた。

核融合発電とは何か

核融合は、「地上に太陽をつくる」とも呼ばれる発電技術だ。太陽が光り輝くのと同じ原理で、水素などの軽い原子核どうしをぶつけて融合させ、その際に生まれる膨大なエネルギーを取り出す。

燃料は海水などから得られ、発電の過程で二酸化炭素(CO2)を出さない。原子力発電(核分裂)とは仕組みが異なり、暴走事故が起きにくく、高レベルの放射性廃棄物も比較的少ないとされる。こうした特長から、脱炭素社会を支える「究極のエネルギー」として、世界で開発競争が激しくなっている。

「ヘリカル方式」と日本の強み

超高温になった燃料は「プラズマ」という状態になり、これを容器の壁に触れさせずに磁石の力で閉じ込める必要がある。その閉じ込め方には複数の方式があり、Helical Fusionが採るのは「ヘリカル方式」と呼ばれるものだ。

ヘリカル方式は、日本の大学や研究機関が長年研究を重ねてきた得意分野で、装置を安定して運転し続けやすいとされる。Helical Fusionは、こうした国内の研究の蓄積を背景に生まれたスタートアップだ。

ゼネコンが担う「建設」の壁

発電を実現するには、技術の開発だけでなく、巨大で特殊な設備を実際に「建てる」という現実の壁がある。安藤ハザマは、大規模なインフラや電力施設の建設で培った施工技術を提供し、この課題に取り組むという。

建設される初号機「Helix KANATA」は、2030年代の運転開始が目標とされる。夢の技術とされてきた核融合を、いかに現実の発電所として立ち上げるか。研究と、それを形にする建設業が手を組んだことは、実用化に向けた一歩といえる。