宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)は、次世代の地球観測衛星「GRUS-3(グルース3)」7機を2026年7月以降に打ち上げると発表した。米スペースXのファルコン9ロケットの相乗り便「Transporter-17」に載せ、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から宇宙へ運ぶ。衛星の統合や軌道上への放出は、ドイツのエクソローンチ社が担う。

7機で日本の6倍の面積を毎日撮影

GRUS-3は高度585キロメートルの太陽同期軌道を回り、地表のものを2.2メートル単位で見分けられる。乗用車1台をはっきり判別するのは難しいが、建物や農地、道路、河川といった地表の様子やその変化を、広い範囲で面的にとらえられる精度だ。1機の撮影幅は28.3キロメートルで、7機を合わせると1日あたり最大230万平方キロメートルを撮影できる。これは日本の国土面積(約38万平方キロメートル)のおよそ6倍にあたる。

観測できる波長帯も、白黒のパンクロマティックに加え、青・緑・赤や近赤外など計7種類に及ぶ。植物の生育状況や水域の変化など、肉眼では分かりにくい情報も読み取れる。搭載する望遠鏡には、光学技術に強いニコン製が採用された。

衛星群を10機超へ、狙いは「毎日・広域」

アクセルスペースは、地球観測データを提供する事業「AxelGlobe(アクセルグローブ)」で、先代機にあたる「GRUS-1」5機をすでに運用している。今回の7機の追加により、自社の衛星群(コンステレーション)は10機を超える体制になる。

多数の小型衛星を連携させて地球を分担して撮ることで、同じ場所を高い頻度でとらえられるのが衛星コンステレーションの利点だ。GRUS-3は、北緯25度以上の地域なら同じ地点を1日1回のペースで観測できる。撮影の頻度と範囲が広がることで、農作物の作付け状況の把握や、災害時の被害確認、環境の監視といった用途での実用性が高まる。

存在感を増す日本の宇宙ビジネス

人工衛星による地球観測は、防災や農業、インフラ管理、安全保障まで幅広い分野で需要が伸びている。従来は大型で高価な衛星が主流だったが、小型衛星を数多く並べて頻度と広さを稼ぐ手法が世界的に広がっており、アクセルスペースはその一角を担う日本のスタートアップだ。

ロケットを相乗り便で確保し、放出作業を海外の専門企業に任せる分業も、宇宙開発が民間主導で効率化している流れを映す。国産の衛星と光学部品を組み合わせた今回の増強は、日本の宇宙関連産業の実力を示す動きとして注目される。