ドクターヘリや消防防災ヘリを飛ばす操縦士が、将来足りなくなる恐れが強まっている。ベテランの高齢化が進む一方、若手が飛行経験を積む機会が減っているためだ。政府は6月、養成・確保策をとりまとめ、航空大学校での育成などに乗り出す。

操縦士の高齢化が進む

国土交通省などによると、ドクターヘリの機長になるには、1000時間以上の飛行経験が必要とされる。しかし操縦士の高齢化が進み、2025年4月時点で50歳以上が占める割合は、ドクターヘリで約71%、消防防災ヘリで約65%に上る。

ドクターヘリでは、2030年以降、全国で年に10人以上の操縦士が不足する可能性があるという。ドクターヘリは救急患者を運び、消防防災ヘリは災害時の救助などにあたる、命を支えるヘリコプターだ。

ドローン普及で若手の経験が減る

背景の一つに、ドローンの普及がある。自治体などからヘリの運航を請け負う民間事業者は、これまで農薬散布や空撮といった仕事を通じて、若手操縦士に飛行経験を積ませてきた。ところが、こうした作業がドローンに置き換わり、若手が腕を磨く場が減っている。

養成には費用もかかる。訓練の飛行は1時間あたり約30万円といい、事業者にとって重い負担になっている。

政府が養成策をとりまとめ

政府は6月、関係省庁の連絡会議で操縦士の養成・確保策をまとめた。国が運営する航空大学校に、ヘリコプター操縦士を育てる新たなコースを設け、2028年度末の運用開始を目指す。あわせて、無利子で借りられる奨学金制度の創設も検討する。

養成にかかる費用を国や自治体が支援する仕組みも検討しており、政府は制度の具体化を進めるとしている。