Netflixのシリーズ「ダウンタイム」が9月17日、全8話をまとめて世界独占配信で公開された。美容整形の現場を舞台にした医療ヒューマンサスペンスで、松岡茉優さんと仲里依紗さんが二人の医師を演じる。

「医療で命を救う」と「美で人を救う」

Netflixの発表によると、松岡さんが演じる沼田文は、高い技術を持ちながら緊急手術をきっかけに大学病院を去ることになる形成外科医。そこへ声をかけるのが、仲さん演じるカリスマ美容外科医の遠山凜だ。業界の闇を探るつもりで凜のクリニックに入った文は、「医療で命を救う」という自らの信条と、凜の掲げる「美で人を救う」という信条との間で激しくぶつかり合う。

形成外科は事故やがんの手術などで失われた体の形や機能を再建する診療科で、多くが公的医療保険の対象になる。一方、美容外科は見た目を整えることを目的とし、原則として保険がきかない自由診療にあたる。作品はこの二つの立場を同じクリニックの中で対置させる構図を取っている。

監督は、医療ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」を手がけたYuki Saito氏。脚本はNetflixシリーズ「極悪女王」の池上純哉氏が担当し、音楽は坂東祐大氏らが手がける。追加キャストとして間宮祥太朗さん、田中みな実さん、萩原利久さん、城田優さん、泉里香さん、安達祐実さん、風間俊介さん、Kōkiさん、永作博美さん、渡部篤郎さんら23人が発表されている。

題名は施術後の「回復期間」

題名の「ダウンタイム」は、美容医療で使われる言葉だ。Netflixは、施術後に生じる腫れや内出血などの症状が自然な状態に落ち着くまでの回復期間を指すと説明し、作品ではこれを「サナギが蝶になるまでの大事な時間」として描き、物語全体の主題に置いたとしている。

Netflixの日本発の実写シリーズは、全話を同じ日に公開する形が定着している。本作も8話が9月17日に一斉に出た。週1回の放送で話題を積み重ねる地上波の連続ドラマとは異なり、視聴者が自分の速さで最後まで見通せるため、配信初日に感想が集中しやすい。

相談件数は2024年度に1万件超

作品が扱う美容医療は、現実にも消費者トラブルの多い分野だ。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた美容医療サービスに関する相談は、2023年度の6281件から2024年度は1万744件へと増えた。2025年度は7944件で、2026年度は5月31日までに735件が登録されている。

厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」は2024年11月、対応策をまとめた報告書を公表した。報告書は、患者側から「シワを取るはずが顔面麻痺が残った」「医師ではない人に治療方針を決定された」「強引に高額な契約を結ばされた」といった相談が寄せられている一方、保健所などが医療機関の安全管理の体制を把握できていないと指摘した。

そのうえで、美容医療を行う医療機関の管理者に、安全管理措置の実施状況や医師の専門医資格の有無、問題が起きた際の相談先などを年1回報告させ、必要な内容を都道府県が公表する仕組みの導入を求めた。関係学会によるガイドラインの策定、医療広告のネットパトロール強化、その日のうちに施術する「即日治療」の原則禁止なども盛り込んでいる。