楽天グループ、北海道上士幌町、タイミー、日本航空(JAL)の4者は24日、総務省が創設を目指す「ふるさと住民登録制度」の推進に向けた共同施策を始めたと発表した。酪農や農業、林業など、町の基幹産業の担い手となる人材の確保をはじめとする地域課題の解決を狙う。

楽天によると、通販や旅行を起点とした地域創生のノウハウ、タイミーが培ってきた雇用創出のノウハウ、JALのマイルを組み合わせ、町と継続的に関わる「関係人口」を増やす。その上で、地域の事業者や宿泊事業者の人手不足の緩和につなげるとしている。

各社が手段を持ち寄る

楽天は、通販サイト「楽天市場」に特設ページ「集まれ!未来のふるさと住民」を設け、上士幌町の特産品を販売する。「楽天トラベル」では、町内の対象宿泊施設で使えるクーポンを提供する。買い物や旅行を、町を知る入り口に位置づける。

タイミーは、短時間から働けるスポットワークの導入支援で培った仕組みを活用する。町外の人が短期間から地域の担い手として就労・活動できるようにする。観光で訪れた人が滞在中に酪農や宿泊の現場で働く、といった流れを想定する。

JALは、JALのマイルを使ったキャンペーンを実施する。航空会社の会員基盤を、町への関心の入り口として使う。

「ふるさと住民登録制度」とは

ふるさと住民登録制度は、実際に住んでいなくても、継続的に関わりたい地域を任意で選んで登録し、情報提供や行政サービスなどを受けられる仕組みだ。総務省が、住所地以外の地域に関わる「関係人口」を増やす狙いで創設を目指している。

総務省は2026年3月、制度の運用指針となるガイドラインを発表した。トラベルボイスによると、2026年度にモデル事業を始め、2027年3月の本格運用を目指す。登録は、誰でも情報を受け取れる区分と、年に複数回の担い手活動を求める代わりに交通費などの補助を受けられる区分に分ける方向だ。政府は今後10年で、延べ1億人規模の登録を目標に掲げている。今回の4者の施策は、この制度を見据えた先行的な取り組みにあたる。

担い手不足を抱える「人口が増えた町」

上士幌町は北海道・十勝地方の町で、人口は約5000人。乳牛を多く飼う酪農が基幹産業だ。同町はふるさと納税の寄付を子育て支援などに充て、認定こども園の保育料無料化や医療費の補助を進めてきた。こうした施策で移住者を呼び込み、人口減少が続く地方にあって人口を回復させた事例として知られる。

それでも、酪農や農業、林業の現場では担い手の確保が課題として残る。4者は、移住に至らない段階でも町と関わる人を増やすことで、現場の人手を補う狙いだ。施策の開始時期や期間は明らかにしていない。