家庭用エアコンの省エネ基準が2027年4月に引き上げられる。これを前に、資源エネルギー庁が「値上がりするのか」「買い替えが必要なのか」といった消費者の疑問に答える情報発信を始めた。何が変わり、家計にどう関わるのかを整理する。

何がどれだけ厳しくなるのか

基準を定めるのは、省エネ法に基づく「トップランナー制度」だ。市場でもっとも省エネ性能の高い製品(トップランナー)を目安に将来の基準値を設定し、各メーカーに達成を促す仕組みで、家電の省エネ化を進めてきた。

今回の見直しでは、エアコンの省エネ性能を示す「APF(通年エネルギー消費効率)」の目標が引き上げられる。APFは、1年を通してエアコンを使ったときに、消費する電力に対してどれだけ効率よく冷暖房できるかを表す数値で、大きいほど省エネだ。

新基準では、壁掛け形エアコン全体で2016年度の性能に比べておよそ13.7%、普及機種が多い4.0キロワット(14畳用)のクラスでは最大34.7%の効率改善が求められる。

電気代はどれだけ変わるか

省エネ性能が上がれば、その分だけ電気代は下がる。資源エネルギー庁の試算では、新基準を満たした機種は、従来型と比べて2.2キロワット(6畳用)で年間およそ2760円、4.0キロワット(14畳用)で年間およそ1万2600円の電気代削減が見込まれる。

エアコンは10年前後使う家庭も多く、本体価格が多少高くても、長く使えば電気代の差で元が取れる可能性がある。購入時は、同じ出力・機能の製品どうしで価格を比べ、電気代の削減効果も含めて総合的に判断することが勧められている。

「2027年問題」の誤解

一部で「基準に届かないエアコンは買えなくなる」との受け止めが広がるが、これは正確ではない。トップランナー制度は、メーカーが年度ごとに出荷する製品「全体の平均」で基準を満たすことを求めるもので、個々の製品の製造や販売を禁止する制度ではない。いま使っているエアコンも、これまで通り使い続けられる。

背景には、2050年の温室効果ガス「実質ゼロ」(カーボンニュートラル)という国の目標がある。資源エネルギー庁は、新基準の達成で年間およそ280万トン、一般家庭約120万世帯分に相当する二酸化炭素(CO2)の削減が見込めるとしている。