京セラは、長崎県諫早市に建設していた「長崎諫早工場」を9月1日に開設する。半導体づくりを支える部品を生産する拠点で、2028年度までに総額680億円を投じる。九州で相次ぐ半導体関連投資の一つとなる。

何をつくる工場か

新工場では、当面、主に2種類の製品を手がける。一つは、半導体をつくる製造装置に組み込む「ファインセラミック部品」だ。半導体の製造は、熱や薬品にさらされる過酷な環境で行われるため、それに耐える高性能なセラミック部品が欠かせない。

もう一つが「半導体パッケージ」で、これは半導体チップを衝撃やほこりから守り、電気を通す土台となる部材だ。いずれも、最終製品の半導体そのものではなく、半導体を「つくる・使う」ために不可欠な、縁の下の力持ちにあたる。

工場は6階建てで、延べ床面積は約8万平方メートル。2024年9月に着工しており、2030年度以降には年250億円分の生産能力を見込む。

なぜ今、九州で半導体投資が集まるのか

京セラが工場を置く九州では近年、半導体関連の工場やその部材・装置メーカーの進出が相次いでいる。きっかけは、世界最大の半導体受託生産会社である台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を構えたことだ。

大きな工場ができると、その周りに、材料や部品、装置を供給する企業が集まり、産業の集積が進む。かつて多くの半導体工場が立地し「シリコンアイランド」と呼ばれた九州が、その強みを生かして復権しつつある。

背景には、経済安全保障の観点から、半導体の生産を海外に頼りきりにせず、国内でまかなえる体制を築こうという国全体の動きもある。半導体は、スマートフォンや自動車、生成AIを動かすデータセンターまで、あらゆる製品の心臓部だ。その供給網の一角を担う工場が増えることは、地域の雇用や経済にも波及効果をもたらすとみられる。