金融庁は17日、東証グロース市場に上場するENECHANGE(エネチェンジ、東京)の四半期報告書などに虚偽の記載があったとして、課徴金9149万5000円を国庫に納めるよう命じる決定をした。納付期限は11月17日。証券取引等監視委員会(証券監視委)が6月12日に勧告し、同社が違反の事実と金額を認めたため、争いのないまま確定した。
赤字を2億8000万円小さく記載
虚偽記載があったとされたのは、2023年11月10日に提出した第9期第3四半期の四半期報告書だ。2023年1月1日から9月30日までの連結累計期間について、親会社株主に帰属する四半期純損益が実際には16億6251万円の赤字だったのに、13億8286万円の赤字と記載されていた。赤字の幅がおよそ2億8000万円小さく見えていたことになる。
証券監視委が挙げた原因は「売上の過大計上」である。
リース会社に売り、SPCが借りる仕組み
同社グループは、EV(電気自動車)充電機器などをリース会社に販売し、その販売収益を売上に計上していた。機器はリース会社から特別目的会社(SPC)へと貸し出され、SPCが充電事業の器を担う。SPCの資金は社債権者から集めていた。
同社は、このSPCについて「社債権者が業務執行の権限を持つ」として連結の対象外に置いていた。連結から外れていれば、グループ外部への販売として売上をそのまま立てられる。
しかし証券監視委は、実質的な業務執行を同社が行っていたこと、SPCの事業運営の方針決定をグループが支配する契約が存在していたこと、一部の社債権者に対しては将来的に社債を当初の引受額で買い取ると約束していたことなどを挙げ、SPCは連結子会社に当たると判断した。連結子会社であれば、グループ内部での売買にすぎず、EV充電機器の販売に関する売上高は連結決算の上で消さなければならない。
課徴金の大半は公募増資分
課徴金9149万5000円の内訳は偏っている。四半期報告書の虚偽記載そのものに対する分は150万円にとどまり、残る8999万5000円は、この四半期報告書を「参照情報」として2024年2月9日に提出した有価証券届出書に対するものだ。
金融商品取引法は、虚偽記載のある届出書に基づいて資金を集めた場合、株式の発行価額の総額の4.5%を課徴金として課すと定めている。同社はこの届出書に基づく募集で、2024年2月26日に378万4200株を計39億9989万9400円で取得させた。その4.5%は1億7999万円余りにあたる。
継続開示と発行開示のいずれも、算定額はさらに半分に減らされている。金融庁の検査などが行われる前に、同社が課徴金の減額に係る報告書を提出していたためだ。虚偽記載を自ら訂正して申し出れば課徴金を半減する仕組みが法律に置かれており、それが適用された。
争わずに確定
金融庁は勧告を受けて6月19日に審判手続の開始を決定したが、同社は事実と納付額を認める答弁書を提出した。審判官が納付を命じる決定案を出し、今回の決定に至っている。開示規制違反の課徴金事件では、被審人が争えば審判が長期化することもあるが、今回は3か月で終着した。
