経済産業省は14日、7月28日に起きた令和8年熊本地震で売り上げが落ち込んだ中小企業の資金繰りを支える「セーフティネット保証4号」について、対象地域を広げると発表した。すでに指定している熊本県内の21市町村に、県内に残る24市町村と鹿児島県内の19市町村を18日付で加える。熊本県は全45市町村が対象となり、鹿児島県でも鹿児島市や霧島市などが新たに使えるようになる。
一般の保証とは「別枠」でもう一組の枠が開く
セーフティネット保証4号は、地震や噴火、台風といった突発的な災害で経営が苦しくなった中小企業に対し、信用保証協会が融資額の100%を保証する制度だ。企業が返済できなくなっても保証協会が全額を肩代わりするため、被災して業績や担保が傷んだ企業でも、金融機関が融資に踏み切りやすくなる。
この制度の要は、保証枠が普段の枠とは別に用意される点にある。中小企業が平時に使える一般保証の限度額は、担保を要しない無担保保証が8000万円、普通保証が2億円で、合わせて2億8000万円。4号に認定されると、これと同じ大きさの枠がもう一組開く。すでに一般保証を限度いっぱいまで使っている企業でも、最大2億8000万円を新たに借りる余地が生まれる計算だ。原則として第三者の保証人も求められない。
使うには「売り上げ2割減」の認定が要る
利用するには、まず本店(個人事業主は主な事業所)のある市町村の商工担当窓口に申請し、認定を受ける必要がある。要件は、直近1か月の売上高が前年の同じ月と比べて20%以上減っていて、なおかつその後の2か月を含む3か月間も前年同期より20%以上減る見込みであること。創業から1年1か月たっていない企業や、前年以降に店舗・工場を増やした企業は、災害が起きる直前3か月の月平均と比べる。
認定書を受け取ったうえで、取引のある金融機関か地元の信用保証協会に持ち込んで融資を申し込む流れになる。保証協会と金融機関の審査は別にあるため、認定を受ければ必ず借りられるわけではない。認定を申請できる指定期間は、発災日の7月28日から12月17日まで。指定期間は3か月ごとに調べ直し、必要なら延長される。
直接の被害から「取引先の落ち込み」へ
国はこの地震について、8月5日に熊本県内21市町村を4号の対象に指定していた。今回はその後、熊本・鹿児島の両県から追加指定の要請があったのを受けたものだ。
4号は、建物や設備が直接壊れた企業だけが対象ではない。被災地に部品や商品を納めていた、あるいは観光客が来なくなった、といった間接的な影響でも、売り上げが2割落ちていれば使える。発災から1か月半が過ぎ、被害の影響が熊本県内の内陸部や県境を越えた鹿児島県側にまで広がっている実態が、今回の拡大に表れている。
政府は8月27日、「生活の再建」「なりわいの再建」「災害復旧」を3本柱とする支援パッケージを決定。9月4日には総理を本部長とする「令和8年熊本地震非常災害復旧復興本部」を設置し、復旧・復興を中長期で支える体制に移した。観光需要の回復を狙う「九州ふっこう応援割」は10月1日に始まる。今回の保証の拡大は、この「なりわいの再建」を金融面から支える措置にあたる。
