財務省が7月8日に発表した5月の国際収支(速報)によると、経常収支は3兆9683億円の黒字だった。輸出の伸びで貿易収支が黒字に転じたほか、海外からの投資収益が引き続き経常黒字を支えた。

貿易収支が黒字に転化

モノの輸出から輸入を差し引いた貿易収支は69億円の黒字で、前年同月比では5040億円改善し、赤字から黒字へと転じた。輸出は9兆3602億円と前年同月より14.7%増え、輸入は9兆3533億円だった。サービスの取引も含めた「貿易・サービス収支」は34億円の小幅な赤字だったが、赤字幅は前年より縮小した。

海外からの稼ぎが下支え

経常黒字を最も大きく支えたのは、「第一次所得収支」だ。これは、日本企業や投資家が海外の子会社や株式・債券から得る配当や利子などの収益を示す。5月は4兆2756億円の黒字と高い水準で、前年より黒字幅が広がった。

長年の海外投資で日本は世界有数の対外資産を持っており、モノの貿易よりも、こうした海外からの投資収益で稼ぐ「成熟した債権国」の姿が鮮明になっている。

「経常収支」とは

経常収支は、日本と海外との間で行われるお金のやりとりを総合的にとらえた統計だ。モノの輸出入(貿易収支)、輸送や旅行などのサービス取引、海外投資の収益(所得収支)などを合計したもので、その国の対外的な「稼ぐ力」を映す指標とされる。黒字が続くことは、日本が海外から安定して収益を得ていることを意味する。ただし、その中身は輸出主導から投資収益主導へと移っており、円相場や海外経済の動向に左右されやすい面もある。