片山財務相は11日の閣議後記者会見で、急速に進む円高について問われ、「我々の対応方針は日米協調介入を実施して皆様に声明を発表したときから一切変わっておりません」と述べた。そのうえで「引き続き米国財務省とも緊密にコミュニケーションを維持しつつ、秩序ある為替市場の維持に取り組んでまいります」と語り、相場の水準そのものへの言及は「いつものように差し控えます」として避けた。
9月に入って7営業日で6円87銭の円高
円相場は9月に入って急な上昇が続いている。日本銀行がまとめている東京市場のドル・円スポット相場(午後5時時点)は、9月1日が1ドル=159円99銭、3日が157円5銭、7日が155円56銭で、9日は153円12銭となった。統計に収録されている直近の9日までで、7営業日に6円87銭の円高だ。1ドル=160円なら100万円は6250ドルにしかならないが、153円12銭では約6530ドルになる。同じ円で買える外貨が増えた形だ。
会見では記者が「今週、一時1ドル=153円台を割るなど急速に円高に振れ、その後も不安定な動きが続いている」と指摘し、この動きが経済の実力に沿ったものかどうかを尋ねた。片山氏は個別の水準評価には踏み込まなかった。
「日米協調介入」という異例の枠組み
片山氏が「一切変わっていない」とした対応方針は、日米が足並みをそろえて実施した協調介入の際に公表した声明を指す。為替介入は、通貨当局が市場で自国通貨を売り買いして相場の行き過ぎた動きをならす操作で、日本では財務相が判断し、日銀が実務を担う。単独で行う場合と異なり、協調介入は相手国の通貨当局と足並みをそろえて実施する。
財務省が8月28日に公表した外国為替平衡操作の実施状況によると、7月30日から8月26日までの介入額は15兆3993億円にのぼった。この規模の円買いを実施したあとも、政府は枠組みを維持する姿勢を崩していない。円高方向の値動きが目立つ局面に入っても対応の軸は動かさない、というのが片山氏の説明だ。
米財務長官の「私が胴元だ」発言
もう一つの質問は、米国のベッセント財務長官の発言に向けられた。記者によると、ベッセント氏は8日の講演で、円の為替市場に介入する際に日本や日銀、日本の政策立案者がどう動くかを「かなり詳しく把握している」と述べ、自らを「胴元」だとも語った。日銀や日本の通貨当局の判断にまで踏み込む異例の発言が続いていることへの受け止めを、記者は片山氏に求めた。
片山氏は「報道を聞いておりますが、その発言の内容については、意味をどう思うとか評価するということは当然差し控えます」と応じた。そのうえで「私も胴元という見出しを見て、日本語の語感だとちょっと怖いですよね」と述べ、英語の原文が「I am the house」だったことに触れ、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがヘッジファンド出身者らしい市場観の表れだと書いていたとして、「そういうことと思いまして、それ以上の感想はございません」と語った。「胴元」と訳された「the house」は、賭け金を預かる側、つまり場を仕切る側を指す英語表現だ。
片山氏は8月31日に日米の財務相会談を開いたことにも言及した。その後の公式夕食会でベッセント氏やJPモルガン・チェースのダイモン会長と意見を交わし、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させるという政権の成長戦略について「大いに両者から、本当にいい流れをつくっていると励ましもご理解もいただいた」と説明した。
記念貨幣の発行も決定
会見の冒頭では、2027年に開かれる国際園芸博覧会を記念する貨幣の発行を同日の閣議で決めたことも発表された。額面1000円の銀貨幣で、表面には博覧会公式のマスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」と、会場に植栽が予定されている日本原産の植物6種類をあしらう。裏面は公式ロゴマークだ。発行枚数は4万枚、販売予定価格は税込み3万3500円で、販売の申し込み受け付けは12月頃に始まる予定となっている。
財務省が毎月公表する外国為替平衡操作の実施状況では、次の集計期間である8月27日以降の介入の有無が明らかになる。9月の円高局面で当局が動いたかどうかは、その公表を待つことになる。
