アフリカ中部のコンゴ民主共和国で続くエボラ出血熱の流行で、確認された感染者が7月8日時点で1,792人、死者は625人に上ったと、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が10日までに公式データをまとめた。世界保健機関(WHO)は現地のリスクを「非常に高い」と評価している。原因は「ブンディブギョ型」と呼ばれるウイルスで、致死率は約3割に達する。
震源地から周辺州へ広がる
感染の中心は東部のイトゥリ州で、確認例1,631人・死者535人と全体の大半を占める。加えて北キブ州で158人・89人、南キブ州で3人・1人が確認され、隣接するチョポ州でもイトゥリ州との関連が疑われる2人が調査されている。感染が確認された「保健区」は全国104のうち37に達し、震源地の外へ着実に広がっている実態を示す。WHOによると、患者の治療にあたる医療従事者にも100人を超える感染が出ており、医療体制そのものが打撃を受けている。
「ブンディブギョ型」とは
エボラ出血熱は、ウイルスの種類によっていくつかの型に分かれる。今回の「ブンディブギョ型」は、過去の大流行で知られる「ザイール型」とは別のウイルスだ。問題は、これまで実用化されてきたエボラワクチンや治療薬が主にザイール型を対象にしており、ブンディブギョ型に有効性が確かめられたものが存在しない点にある。感染すると発熱や倦怠感の後に出血傾向が進むこともあり、専用の対策が乏しいまま流行が続いてきた。
初の治療試験と域外への波及
こうした空白を埋めるため、WHOはこの型を対象にした初の臨床試験を7月2日にコンゴ民主で開始した。抗ウイルス薬「レムデシビル」と、抗体医薬「MBP134」の効果を調べるもので、現地の国立生物医学研究所(INRB)や英オックスフォード大などが協力する。流行は国外にも及び、隣国ウガンダで20人・死者2人が確認されたほか、医療搬送された患者を通じてドイツとフランスでも各1人の感染が判明した。WHOはコンゴ民主と国境を接する国々のリスクを「高い」と位置づけ、人の往来が多い地域での警戒を促している。一方で、感染の主な経路が患者との濃厚接触に限られることから、日本を含むアフリカ域外への公衆衛生上のリスクは現時点で「低い」としている。