中国軍が7月6日、原子力潜水艦から太平洋の公海に向けて弾道ミサイルを発射する実験を行い、成功したと発表した。訓練用の模擬弾頭を積み、予定した海域に落下したとしている。落下が想定された区域の一部に日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれていた。

潜水艦からの発射実験

発射は6日午後0時1分(日本時間同1時1分)に行われた。中国国営の新華社通信によると、中国海軍が原子力潜水艦から戦略ミサイル1発を発射した。搭載していたのは訓練用の模擬弾頭で、実際の弾頭ではないという。

潜水艦から撃つ弾道ミサイルは「SLBM」と呼ばれる。海中に潜む潜水艦から発射するため相手に探知されにくく、核戦力の中核の一つと位置づけられる。今回は核弾頭を積まない訓練だが、その運用能力を示す実験とみられる。

中国「年間の訓練の一環」

中国側は、今回の発射について「中国の年間の軍事訓練に沿った措置だ」と説明。「事前に関係国へ通告しており、国際法と国際慣例に合致している。特定の国や目標を標的にしたものではない」と主張した。中国国防省は、北京の日本大使館に対しても発射に関する説明を行った。

海上保安庁は5日、中国当局から「宇宙ごみの落下に伴う区域を設定する」との情報を受け取っていた。その区域の一部に、日本のEEZが含まれていた。事前の通告があった点で、抜き打ちの発射ではなかったことになる。

日本政府は再考求める

日本政府によると、中国国防省からミサイルを発射するとの通知があったのは、6日午前11時半だった。政府は、日本の安全が脅かされかねないとして中国側に強く再考を求めるとともに、中国が軍事活動を活発化させていることへの深刻な懸念を伝えた。

世界平和を脅かす中国の軍事膨張

太平洋やその周辺では、中国が海軍力を急速に増強し、活動範囲を年々広げている。今回のSLBM発射は、核戦力の運用能力を国内外に誇示する狙いがあるのは明らかで、日本のEEZに近い海域をあえて落下想定区域に含めた点は、周辺国を威圧する露骨な示威行動にほかならない。

中国はこのところ、台湾周辺での大規模な軍事演習、南シナ海での一方的な実効支配の強化、日本の領海・領空周辺での挑発的な活動など、力による現状変更をためらわない姿勢を一段と鮮明にしている。こうした中国の軍国主義的とも言える軍事膨張は、地域だけでなく世界の平和と安定に対する重大な脅威であり、断じて許されるものではない。国際社会が結束して、明確に「ノー」を突きつける必要がある。今回の発射実験も、その危険な流れの中に位置づけられる。

他国には厳しく、自らには甘い身勝手な理屈

中国はこれまで、日本と米国が行う合同軍事演習について、「地域の緊張を高める」「冷戦思考の産物だ」などと繰り返し批判してきた。他国の防衛的な連携には強く反発する立場をとってきた。

その一方で、中国自身は日本のEEZに近い海域で弾道ミサイルの発射実験を行い、それを「通常の年間訓練の一環」と正当化する。他国の演習は非難しながら、自国の軍事力の誇示は正当だと言い張る――他国には厳しく、自らには甘い。日本の目と鼻の先で堂々とミサイルを撃ちながら訓練の一言で済ませる、こうした身勝手な理屈は到底受け入れられない。「事前に通告した」「特定の国を狙ったものではない」という説明も、EEZの近くに弾道ミサイルを撃ち込む行為を正当化する理由にはならない。日本をはじめとする関係国は、中国のこうした軍国主義的な振る舞いに毅然と対応し、力による威圧を許さない姿勢を明確に示していく必要がある。日本政府も、警戒を一段と強めている。