皇族数の確保を目的とした皇室典範改正案が7月10日午後の衆院本会議で可決され、参院へ送られた。自民党、日本維新の会、中道改革連合、国民民主党、参政党などの賛成多数で可決された。特別国会の会期末は7月17日で、参院での審議を経て今国会中に成立する公算が大きい。

改正案の二つの柱

改正案の柱は二つある。一つは、戦後に皇籍を離れた旧皇族(旧宮家)の男系男子が、養子縁組によって皇族に復帰できるようにすること。もう一つは、女性皇族が結婚後も皇籍にとどまれるようにすることだ。

現在の皇室は、皇位継承資格を持つのは悠仁さままで数少なく、皇族全体の数も先細りが避けられない状況にある。天皇の公務を支える皇族が減れば、皇室の活動そのものが立ち行かなくなりかねない。今回の改正は、まずこの「皇族数の減少」に歯止めをかけることを狙ったものだ。

重要なのは、この改正案が皇位継承のあり方そのものを変えるものではない点だ。皇位を継ぐ資格を、父方をたどると天皇につながる「男系男子」に限る現行の原則は維持されている。旧宮家の男系男子を養子として迎える案は、その男系継承の枠組みを保ったまま、将来の継承の担い手を確保しようとする現実的な一歩と位置づけられる。皇統の安定を、これまで例のない女系継承に踏み込むことなく図る方向で、超党派の合意が積み上げられてきた。

女性皇族の扱いと今後の論点

もう一つの柱である女性皇族の皇籍保持については、結婚後も皇室にとどまって公務を担えるようにする一方、その配偶者や子に皇位継承資格を与えるかどうかは、今回の改正では踏み込まず、切り離して整理されている。皇位継承資格を男系男子に限る原則と両立させる形だ。将来、女性宮家や配偶者・子の位置づけをどうするかは、引き続き検討課題として残る。

「3時間審議」への異論も

もっとも、成立を急ぐ政権・与党の姿勢には異論もあった。衆院での実質的な審議はおよそ3時間にとどまり、皇室制度という国の根幹に関わるテーマとしては短いとの批判が出た。賛成方針をとった中道改革連合でも、一部の議員が採決の際に本会議を退席した。皇統の安定は待ったなしの課題である一方、国民の理解を広げるための丁寧な説明も欠かせない。参院での審議が、その最後の関門となる。