政府は6月30日の経済財政諮問会議で、経済財政運営の指針「骨太の方針2026」(経済財政運営と改革の基本方針2026)の原案を示した。高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」を前面に出し、2%の物価安定目標のもとで、実質で1%、名目で3%を上回る経済成長を定着させるとした。
「強い経済」への抜本転換
原案は冒頭で、「強い経済」の実現を高市内閣の使命と位置づけ、「従来の延長線上ではない、新たな経済財政運営への抜本的な転換を図る」とした。長年の「未来への投資不足」で潜在成長率が低迷したとの認識を示し、「責任ある積極財政」の考え方のもと、政府が一歩前に出て、官民で戦略分野への投資を進めるとした。
投資の目安も数字で示した。AIや先端技術など62の主要分野で、2040年度までの累計で370兆円を超える官民の投資を見込む。成長戦略が十分に効果を上げれば、2040年度に国内の民間設備投資は年230兆円、名目GDPは1100兆円に迫るとの見通しを示した。名目GDPは、国内で1年間に生み出された物やサービスの金額の合計で、経済の規模を表す。
財政の持続可能性
財政運営では、「強い経済」と「財政の持続可能性」を同時に実現するとした。目標には、国と地方の借金の残高が経済規模に対してどれくらいあるかを示す「債務残高対GDP比」の安定的な低下を、中期の中核に据えた。
これまで重視してきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、政策に使うお金を借金に頼らずにまかなえているかを示す指標だ。原案は、これが単年度で黒字になる時期を機械的には追わず、複数の年度で管理するとした。景気や、危機管理・成長のための投資の必要に応じて、一時的な悪化も許容し得るとしている。そのうえで市場の信認を確保するとした。
予算の作り方を抜本見直し
原案は、令和9年度(2027年度)予算を「責任ある積極財政元年」と位置づけた。1年ごとに予算を組む「財政単年度主義」の弊害を是正し、複数年度にわたる予算措置や、危機管理投資・成長投資のための「『強く豊かな日本』投資枠」を設けるなど、予算の作り方を根本から改めるとした。補正予算に頼る状態からの脱却も掲げた。
方針の第3章は「中長期経済財政計画」と位置づけ、計画期間を2027年度から2040年度までとした。社会保障では、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく方針を示し、給付と負担の見直しも検討するとした。
閣議決定は例年より遅く
骨太の方針は、政府が毎年まとめる経済財政運営の基本方針で、経済財政諮問会議での議論を経て閣議決定される。翌年度の予算編成や主要政策の土台となる文書だ。例年は6月中に閣議決定されるが、今年は原案の提示が6月30日にずれ込んだ。閣議決定はこの後に行われ、例年より遅い日程となる。原案の内容は、閣議決定に向けてなお調整される可能性がある。