韓国のサムスン電子が7月7日、2026年4〜6月期の暫定決算を発表した。本業のもうけを示す営業利益は89兆4000億ウォン(約9兆円)で、前年同期の4兆7000億ウォンから約19倍に膨らみ、四半期としては過去最高となった。生成AIの広がりが生んだ半導体メモリーの需要が、けた違いの好業績を押し上げた。
営業利益、四半期で過去最高
営業利益は、前の四半期(1〜3月)の57兆2000億ウォンと比べてもおよそ5割増えた。売上高も171兆ウォンと大きく伸び、市場の事前予想を上回る利益水準となった。
サムスン電子は、スマートフォンや家電も手がける総合電機メーカーだが、今回の急成長を牽引したのは半導体メモリー事業だ。この分野だけで、四半期の売上高が過去最高を更新したという。
AIがメモリーを「金脈」に変えた
背景にあるのは、世界的な生成AIへの投資ブームだ。AIが文章や画像を生み出したり、膨大なデータを学習したりするには、計算を担う画像処理半導体(GPU)と一緒に、データを高速でやり取りする大容量のメモリーが欠かせない。
その中核が「HBM(広帯域メモリー)」と呼ばれる特殊なメモリーで、チップを何層も積み重ねて処理速度を高めたものだ。サムスンは、AI半導体最大手エヌビディアの次世代基盤「Vera Rubin(ベラ・ルビン)」向けに、最新世代の「HBM4」などの量産出荷を始めたとしている。
AIデータセンターの建設が世界中で相次ぎ、メモリーは「作れば売れる」状態が続く。供給が需要に追いつかず、価格も上昇しており、メモリー業界は数年に一度の好況(スーパーサイクル)に入ったとされる。
半導体マネーの行方
メモリー市場では、サムスンのほか、同じ韓国のSKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーが激しく競い合っている。AI向けの高性能メモリーをどれだけ供給できるかが、各社の業績を左右する構図だ。
この好況は、日本にとっても人ごとではない。半導体をつくる装置や、製造に使う材料では日本企業が高い世界シェアを持ち、メモリー各社の増産はこうした企業の追い風となる。AI投資がどこまで続くかが、半導体をめぐるお金の流れの行方を決めることになる。