科学技術振興機構(JST)は、政府が運用する10兆円規模の「大学ファンド」の2025年度(令和7年度)の当期純利益が3158億円になったと公表した。前年度より598億円多く、運用開始以来で最も大きかった。世界的な株高が利益を押し上げた。
そもそも大学ファンドとは
大学ファンドは、日本の研究力が世界の中で相対的に低下してきたことへの危機感から、政府が2022年に立ち上げた仕組みだ。国が用意した資金をJSTが株式や債券で運用し、その利益を「国際卓越研究大学」などの支援に充てる。研究に必要な資金を、寄付や国の予算だけに頼らず、長期にわたって安定して確保する狙いがある。
運用の目標は、物価上昇率に加えて、運用資産のおよそ3%にあたる利益を毎年生み出すことに置いている。資産規模は10兆円を超え、公的な資金としては国内最大級だ。
過去最大の利益
JSTによると、2025年度の当期純利益は3158億円で、前年度の2560億円を上回った。当期純利益は、株式や債券から得た配当・利子や、売却して確定した損益などを合わせた、大学への助成の元手になる利益にあたる。
2025年度は世界の株式相場が上昇し、ファンドが持つグローバル株式の収益率は27.2%に達した。含み益なども加えた運用全体の収益率は10.7%で、運用資産の時価は年度末に12兆2542億円へ膨らんだ。
相場に左右される仕組み
運用資産は、値動きの比較的小さいグローバル債券が56.8%を占め、グローバル株式が28.8%、不動産などを含むオルタナティブ資産が13.9%という構成だ。株式の比率が高いほど相場の波を受けやすく、利益は年によって振れる。2022年の運用開始からの累積の収益額は2兆3130億円に上るが、その道のりは平たんではなく、2022年度は一時的に赤字となった年もあった。
研究大学の支援に
運用で得た利益は、研究力の高い大学の支援に充てられる。JSTは2024年度以降、累計787億円の助成を決めた。利益が増えれば、世界と競う研究大学の育成や、博士課程の学生への支援に回せる資金が広がる。ファンドは2026年度末までに、実質で3000億円の運用益を上げることを目標に掲げている。