タクシーアプリを運営するGO(東京都港区、中島宏社長)、米グーグル系で自動運転技術を手がけるWaymo(ウェイモ、米カリフォルニア州)、東京最大手のタクシー会社である日本交通(東京都千代田区、若林泰治社長)の3社は9月15日、東京での自動運転タクシーの商用化に向けた戦略的パートナーシップに合意したと発表した。2027年中に、国内初となる自動運転レベル4による完全無人走行の商用タクシー運行を目指し、段階的に100台規模まで広げる。

GOのアプリで従来のタクシーと呼び分け

役割は3社で分ける。GOは地域のタクシー事業者との連携窓口となり、Waymoの技術を日本のタクシー産業に組み込む全体構想を担う。Waymoは運用基盤と車両管理システムを供給する。日本交通は現場の運行管理と営業所運営を受け持つ。

利用者から見た入り口は二つになる。GOのアプリでは、これまで通りの乗務員が運転するタクシーと、Waymoの自動運転車の両方を呼べるようにする。Waymoの専用アプリからも利用できる。中島社長はリリースで「タクシーアプリ『GO』一つで、従来のタクシーとWaymoの自動運転タクシーの両方を利用可能になります」とコメントした。

2025年4月から都内7区で試験走行

3社は2025年4月から、東京都内で公道での試験走行を始めている。対象は港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区で、少数の車両を使い、Waymoの自動運転システム「Waymo Driver」を東京の道路環境に適応させてきた。現在は日本交通の乗務員が同乗した状態での自動走行試験が進む段階にある。

Waymoは米国での実績を強調する。同社によると、米国の10都市以上で週50万回を超える完全自動運転の乗車を提供し、累計の乗車回数は1000万回以上に達している。共同CEOのテキドラ・マワカナ氏は「現在、Waymoは毎週50万回以上の乗車を提供しており、人間のドライバーと比較して15倍以上安全であることが実証されています」とコメントした。この安全性の数値はWaymo側の説明である。

「レベル4」と、越えるべき許認可

自動運転の「レベル4」とは、高速道路や特定のエリアといった限られた条件の下で、システムが運転操作のすべてを担い、運転者が対応する必要がない水準を指す。乗務員が運転席に座らない「完全無人」での営業運行が可能になる段階で、乗務員が同乗して監視する現在の試験走行とは一線を画す。

日本では2023年4月に施行された改正道路交通法で、レベル4に相当する運行が「特定自動運行」として許可制で解禁された。実施するには、走行する場所を管轄する都道府県公安委員会の許可を受ける必要がある。東京都内であれば警視庁が申請の窓口となる。

3社は、正式な運行開始時期については安全性の確認と必要な許認可の取得が完了した後に決めるとし、関係省庁や自治体と密に連携して進めるとしている。日本交通の若林社長は、今回の取り組みを「将来的な乗務員不足を補完し、より安全で質の高い移動インフラを次世代へと引き継ぐための極めて重要な挑戦」と位置づけた。国内のタクシー業界では運転手の高齢化と人手不足が続いており、自動運転はその受け皿の一つとして期待されている。