デジタル庁は7月7日、医療分野のデジタル化「医療DX」の進み具合を一覧できるダッシュボード(進捗を可視化する画面)を公開した。厚生労働省と連携し、複数の指標で普及や利用の状況を示す。

医療DXとは何か

医療DXとは、病院・診療所・薬局などにばらばらに保管されてきた患者の情報を電子化し、必要なときに関係者が共有できるようにする取り組みを指す。中心にあるのが、マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」と、それによる「オンライン資格確認」だ。窓口でカードを読み取ると、加入している保険の情報に加え、本人が同意すれば過去の薬や検診の記録を医師や薬剤師が確認できる。

こうした仕組みが広がると、同じ検査や薬の重複を避けられるほか、救急や災害で本人が説明できない場合でも、必要な医療情報をすぐに把握できる利点がある。

ダッシュボードが示す5つの分野

今回のダッシュボードは、医療DXを構成する主な分野ごとに最新の状況を示す。具体的には、(1)マイナ保険証などによる「保険資格確認」、(2)紙をなくす「電子処方箋」を含む処方・調剤、(3)スマートフォンの「マイナポータル」で自分の健康情報を見る仕組み(PHR)、(4)医療費助成や母子保健といった自治体手続きのデジタル化、(5)病院間で診療記録を共有する「電子カルテ」――の5分野だ。このうち電子カルテについては、今後データを追加して掲載する予定としている。実際に2026年9月30日、電子カルテの導入状況、デジタル庁と厚労省が都道府県別に公開 2026年6月の病院は鳥取県91.2%・福島県64.9% 診療所は沖縄県82.5%から徳島県54.3%までのとおり、電子カルテの導入状況を都道府県別に見られるダッシュボードが別に公開された。(4)の自治体手続きについても、医療費助成の受給者証、マイナンバーカードで使える自治体が611に 1年半前の183から3.3倍 令和8年度は1,037自治体まで広がる見込みのとおり、医療費助成のオンライン資格確認に対応した自治体が611まで広がっている。同じ(4)に含まれる母子保健についても、乳幼児健診の実施率、年月齢で1.5%〜99.5%と差 こども家庭庁の検討会が令和9年春にとりまとめのとおり、こども家庭庁が情報連携基盤「PMH」を使った母子保健DXの全国展開に向けた取り組みを令和8年度末から始める予定だ。

「見える化」で政策を検証

デジタル庁は公開の狙いを、医療DXの「進捗やメリットを国民の皆様に身近に感じていただけるよう」共有するためと説明する。行政の政策は、掲げた目標に対してどこまで進んだかが見えにくいとの指摘が根強い。数値を継続的に公開して誰でも確認できるようにすることで、効果をデータに基づいて検証する「EBPM(証拠に基づく政策立案)」を進める意図がある。デジタル庁は医療以外の分野でも同様の政策ダッシュボードを順次公開しており、行政の透明性を高める試みの一つと位置づけられる。医療分野では、救急搬送の調整を円滑にするための情報連携プラットフォームを全国共通の仕組みとして整備する検討も始まっている(被災者支援・救急医療・コンビニ交付など6件、自治体システムの「共通化候補」に 国・地方デジタル共通基盤 61団体から175件の意見、「共通化は望まない」も)。