米グーグルは9月16日、NTTドコモのiPhoneがiOS 27からRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)に対応したと自社の公式ブログで明らかにした。これでドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社すべてで、iPhoneに最初から入っている「メッセージ」アプリとAndroid端末の「Googleメッセージ」アプリの間で、RCSのやり取りができるようになった。ドコモも9月15日、5月に出した利用者向けの案内を更新し、iOS 27.0以上のiPhoneを対象に加えた。

電話番号だけで写真も動画も送れる

RCSは、SMS(ショートメッセージサービス、携帯電話番号あてに短い文章を送る仕組み)とMMSの後継として、世界の通信事業者でつくる業界団体GSMAが標準化したメッセージ規格だ。ソフトバンクは2月のプレスリリースで、従来のSMSでは電話番号あてにテキストと絵文字しか送れなかったのに対し、RCSでは「写真や動画、スタンプなどの送受信、グループチャット、既読確認などの便利な機能」も使えると説明している。ドコモのサービスページは、これに加えてファイルの添付、音声メッセージ、位置情報の共有も挙げる。グーグルは公式ブログで、RCSで使えるものとして「高画質な写真や動画の共有、入力インジケーターや既読表示、絵文字を使ったリアクション」を挙げている。

LINEのようなアプリと違うのは、相手のアカウントを知らなくてよい点にある。必要なのは電話番号だけで、アプリを新たに入れる必要もない。これまでiPhoneとAndroidをまたぐと、高画質の写真を送ったつもりが相手には粗い画像しか届かない、といったことが起きていた。RCSではこの段差がなくなる。

ドコモは8月24日開始、断る手続きも用意

ドコモがRCSの提供を始めたのは8月24日だ。5月13日の発表時点では「2026年夏から提供開始」とだけ告知され、対応機種は後日案内する形になっていた。対象はAndroid 10.0以上のスマートフォンとタブレット、そしてiOS 27.0以上のiPhone。ケータイやキッズケータイは対象外で、ドコモ回線を使うMVNO(格安SIM事業者)も現時点では使えない。ドコモは今後の対応を予定しているとしている。

料金は月額使用料が無料だ。RCS同士のやり取りなら送信料もかからず、データ通信量だけが消費される。Wi-Fiにつないでいれば、その通信量も消費されない。ただし相手がRCSを使っていない場合は自動的にSMSとして送られ、送信者に3円(税込3.3円)から30円(税込33円)の送信料が発生する。

ドコモは、RCSを使いたくない利用者向けに拒否の手続きも用意した。ドコモオンライン手続き(24時間受付)、ドコモ回線からの「151」などへの電話(午前9時~午後8時)、ドコモショップ・d gardenの3通りで受け付けている。手続きをしても「SMSは今まで通りご利用になれます」としており、従来の使い方は変わらない。

同じiPhoneでも、使える条件は3社でばらばら

RCSは世界共通の規格だが、使える条件は事業者ごとに違う。ドコモがiPhoneに求めるのはiOS 27.0以上だ。これに対しauのサービスページはiPhoneの条件を「iOS 18.4以上」とし、povo2.0とau回線を使うMVNOの利用者だけiOS 26.2以上とする。ソフトバンクはiOS 26.4以上だ。Android側も、ドコモとソフトバンクがAndroid 10.0以上、auはAndroid 8.0以上と差がある。同じiPhoneを持っていても、契約している会社によってRCSが使えるかどうかが変わる。

提供が始まった時期も開いている。ソフトバンクは2月のプレスリリースで「2026年春から順次開始」と予告し、サービスページのお知らせによると、Androidで3月18日、iPhoneで3月25日に提供を始めた。店頭での申し込み受付は4月1日から、利用規約の改訂は4月10日だ。ドコモの8月24日は、ソフトバンクのiPhone対応から5か月あとになる。auはサービスページに提供開始日を載せておらず、いつ始まったかは確認できていない。

申し込みの要否も揃っていない。ドコモは利用者が手続きをしなくても順次使えるようになり、使いたくない人が拒否の手続きをとる形だ。auも「RCSをご利用されないお客さまはお手続きが必要です」として無効化の申し込みを案内する。一方ソフトバンクは「My SoftBankまたは店頭でお申し込みいただけます」と書いており、自分で申し込まないと使えない。

格安SIMの扱いも差がある。auはau回線を使うMVNOについて「2025年12月以降に順次提供開始します」とし、時期は契約先の事業者からの案内を待つよう求めている。ドコモ回線のMVNOは「今後対応する予定」のままだ。ドコモはこのほか、ケータイ・らくらくホン・キッズケータイ・キッズケータイ コンパクトを対象外としている。

見落としやすいのは接続サービスの要件だ。ドコモのサービスページは、RCSにはspモード契約またはahamo・irumo・ドコモ miniのインターネット接続サービスが「要」で、SMSは「不要」と並べて示している。SMSは届くのにRCSにならない場合、ここが理由になりうる。

料金の立て付けは3社で近い。auの比較表も国内・海外ともRCSの送信料を無料とし、SMS(Cメール)は国内3.3円/通、海外100円/通としている。ドコモのSMS送信料が3円(税込3.3円)から30円(税込33円)と幅を持つのは、文字数によって変わるためだ。

基盤を国内へ移す作業は足並みが揃っていない

RCSの裏側では、サービスの提供会社をグーグル子会社から各通信会社へ移す作業が進んでいる。ドコモは利用者向けの案内で、Androidの「Google メッセージ」アプリで使うRCSの提供会社を、8月24日以降、Jibe Mobile Inc.(本社・米カリフォルニア州、Google LLCの子会社)から自社へ順次変更するとしている。利用者から見た機能や使い勝手に変更はない。

ソフトバンクはこの移管でつまずいている。同社のサービスページは、Jibe Mobileからソフトバンクへの切り替えを順次進めてきたものの、8月3日以降、すでに切り替え済みのすべての利用者を「一旦 Jibe Mobile Inc. に戻っていただくこととなりました」と告知した。再開の日程は「未定」で、決まり次第案内するとしている。こちらも「ご利用方法やサービス内容の変更はございません」としており、利用者の操作は変わらない。

端末間暗号化はベータ版で提供中

残る課題は、中身をどこまで守れるかだ。ドコモのサービスページは、電話番号やメッセージの送受信に関する情報をドコモとグーグル・アジア・パシフィック(Google Asia Pacific Pte. Ltd.)が取り扱うと明記する一方、メッセージの本文は暗号化され、提供側も見られないと説明している。グーグルは公式ブログで、同社とアップルが共同で取り組んできたAndroidとiPhoneの間のRCSの端末間暗号化(送り手と受け手の端末だけで中身を読める仕組み)について、ベータ版として順次提供を始めたと記した。時期は「順次提供開始」とだけ示されている。

グーグルが公式ブログで名前を挙げたのは、この3社までだ。楽天モバイルは自社アプリ「Rakuten Link」を通話とメッセージの窓口に据えており、公式サイトでは「誰とでも無料で国内通話かけ放題!」「メッセージの送受信が無料」とうたう。2026年7月からは契約管理の機能も同アプリに統合している。企業が顧客に送る「RCS公式アカウント」は、ドコモが2026年冬の提供開始を予定している。auはサービスページで「便利で楽しいRCS公式アカウント!」として、KDDIからの通知で送信元がひと目で分かるようになると案内している。