総務省は7月8日、「安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業」の令和8年度「ローカル・スタートアップ枠」について、応募のあった73件の提案のうち9件を採択したと発表した。あわせて7月10日から31日まで二次公募を行う。日本の地方企業や新興企業が持つデジタル技術を海外に売り込む取り組みを、国が資金面などで後押しする枠組みだ。

「デジタルインフラの海外展開」とは

デジタルインフラとは、通信網やデータセンター、行政や企業を支える基幹システムなど、社会を動かすIT基盤の総称だ。今回の事業は、こうした基盤や、それを使ったサービス(デジタルソリューション)を海外の国や都市に提供する日本企業を支援する。

事業名にある「安全性・信頼性を確保した」という言葉がポイントになる。近年は、通信機器などに安全保障上の懸念がある特定国の製品を使うと、情報漏えいや供給停止のリスクがあると各国が警戒を強めている。そこで、信頼できる技術で作られた基盤(トラステッドなインフラ)を、価値観を共有する国々の間で広げようという動きが世界的に進む。日本の技術輸出は、その流れに沿うものだ。

地方企業と新興企業に的を絞る

今回の「ローカル・スタートアップ枠」は、大企業ではなく地方の中小企業やスタートアップを対象にしているのが特徴だ。要件は二つで、(1)東京都以外に本社を置く資本金1億円以下の地域密着型のICT中小企業か、(2)東京都内に本社があり設立15年以内・資本金1億円以下で、新しい技術やビジネスモデルを持つ急成長を目指す企業――のいずれかを満たす必要がある。

総務省は、海外案件の発掘や提案、事業の組み立てといった初期段階の取り組みを支え、将来の受注につなげることを目指すとしている。地方企業の優れた技術を海外に出すことは、進出先の課題解決だけでなく、その企業が根ざす地域経済の活性化にもつながるとの考えだ。

経済安全保障と地方創生を両にらみ

この事業は、単なる輸出支援にとどまらず、経済安全保障と地方創生という二つの政策目標を重ねている。信頼できるデジタル基盤を担う企業を国内で育て、海外市場に送り出すことで、特定国への依存を避けつつ、日本の産業競争力と地域経済の底上げを同時に狙う構図だ。

採択された9件の具体的な内容は別紙で公表されている。応募には、政府が海外展開を後押しするための基盤「デジタル海外展開プラットフォーム(JPD3)」への入会などが条件となる。二次公募の締め切りは7月31日午後5時で、関心のある企業に門戸を再び開く。