米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日(日本時間17日未明)、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利の誘導目標を年3.50〜3.75%から年3.75〜4.00%へ引き上げると決めた。利上げは2023年7月以来、3年2か月ぶりとなる。声明は「インフレは高止まりしている」としたうえで、「今回の政策行動は、委員会の2%目標へのより早い復帰を支える」と説明した。採決は投票権を持つ12人の全会一致だった。
前回7月は3人が利上げを求めて反対、今回は全員が賛成
FRBが公表した7月29日の声明では、据え置きの決定をめぐって採決が9対3に割れていた。反対したのはクリーブランド連銀のベス・ハマック総裁、ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁、ダラス連銀のローリー・ローガン総裁の3人で、いずれも「この会合で誘導目標を引き上げること」を望んだと声明に明記されていた。3人が求めたのは年3.75〜4.00%で、今回の決定はその水準そのものだ。2か月を経て、委員会は反対票が示した方向へ動き、今回は反対が出なかった。
物価の見立ても変わった。7月の声明はインフレ高止まりについて「エネルギーを含む特定の分野で価格上昇をもたらした供給ショックを一部反映している」と述べ、中東の紛争にも触れていた。今回の声明はこうした説明を落とし、「インフレは高止まりしている」と短く記すにとどめた。外から来た一時的な要因という位置づけを薄め、金利で対応すべき問題として扱う書きぶりに変わった格好だ。両方の声明とも末尾は「委員会は物価の安定を実現する」で締めくくっている。
年内もう1回の利上げを示唆、失業率見通しは引き下げ
同時に公表した参加者の経済見通し(SEP)では、2026年末の政策金利の中央値が4.1%となり、6月時点の3.8%から上がった。今回の決定で誘導目標の中心は3.875%になったため、残る10月27〜28日と12月8〜9日の2回の会合のうち1回で、さらに年4.00〜4.25%へ引き上げる姿が中央値として示されたことになる。2027年末の中央値も6月の3.6%から4.1%へ切り上がり、高い金利を保つ期間が長くなる想定に改まった。
物価の見通しは上方修正された。2026年の個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は6月の3.6%から3.7%に、値動きの大きい食品とエネルギーを除いた指数は3.3%から3.4%になった。一方で景気の見方は強く、2026年の実質GDP成長率は2.2%から2.3%へ、失業率は4.3%から4.1%へと改められた。景気が弱っていないからこそ利上げに踏み切れる、という判断がうかがえる。声明も「経済活動は堅調なペースで拡大している」「生産性の伸びは強く、設備投資も旺盛だ」と記し、雇用については「雇用の増加は労働力人口の伸びに見合っており、失業率はほとんど変わっていない」とした。
銀行への付利も引き上げ、日銀は17〜18日に会合
FRBは同日に出した実施通知(インプリメンテーション・ノート)で、実務上の金利も改めた。銀行が中央銀行に預ける準備預金に付く金利を年3.90%に、金融機関がFRBから直接資金を借りるときのプライマリー・クレジット金利を年4.00%に、いずれも9月17日から引き上げる。翌日物レポは年4.00%、翌日物リバースレポは年3.75%とし、取引相手ごとの上限は1日1600億ドルに据え置いた。
FF(フェデラル・ファンド)金利は米国の金融機関同士が短期の資金をやり取りする際の金利で、FRBがこの金利を直接決めるわけではない。準備預金への付利などの手段を使い、実際の取引金利を誘導目標の範囲に収める仕組みだ。この水準は住宅ローンや企業の借入金利に波及し、日米の金利差を通じて為替相場にも影響する。
日本銀行は9月17日と18日に金融政策決定会合を開く。その次は10月29〜30日の予定で、FRBの10月会合(27〜28日)と日程が重なる週になる。
