全国知事会は4日、参議院選挙の「合区」の解消を求める決議を、衆参両院議長と各党の幹部ら11人に手渡した。決議は7月16日の全国知事会でまとめたもので、「令和10年の参議院選挙に向けて」、十分な国民的議論のもとでの憲法改正等の抜本的な対応による「合区の確実な解消」を強く求めるとしている。

要請には、総合戦略特別委員長を務める岡山県の伊原木知事、徳島県の後藤田知事、鳥取県の中原副知事のほか、鳥取・島根・高知3県の東京事務所長らが参加した。要請先は森・衆議院議長、福山・参議院副議長、石井・参議院改革協議会座長、公明党の谷合・参院会長、立憲民主党の田名部幹事長、国民民主党の古川・政治改革行政改革推進本部長、日本維新の会の金村・幹事長代理、中道改革連合の渡辺・選挙対策委員長代理らである。

合区とは何か

合区は、隣り合う2つの県を1つの参議院選挙区にまとめる仕組みだ。人口の少ない県でも各県1人以上の議員を選べる従来の区割りでは、1票の重みの差(1票の格差)が開くため、これを縮める目的で導入された。対象は「鳥取県・島根県」と「徳島県・高知県」の2選挙区で、決議によると憲政史上初めて合区での選挙が行われたのは平成28年の参院選である。

合区された県では、その選挙で自分の県から候補者が出ないことが起こりうる。決議は、平成28年の参院選で「自らを代表する議員が選出できなかった県民からは、大きな失望の声が上がり、国民の参政権にも大きく影響を及ぼす事態を引き起こした」と記している。

投票率の低下が常態化

決議は投票率の推移を根拠に挙げた。令和4年の参院選では合区選挙の開始以降、3回連続で過去最低の投票率を更新する県が出た。令和5年の参議院補欠選挙では、ゆかりのある候補者がいない県で投票率が戦後最低を記録している。

さらに令和7年の参院選でも、鳥取県と島根県で投票率が低い水準にとどまり、徳島・高知選挙区では徳島県の投票率が3回連続で全国最低となった。決議はこうした状況を「合区を起因とした弊害が常態化しており」「深刻度が増している」と表現している。

今年5月に公表された令和7年国勢調査の速報値にも触れ、人口減少が進めば合区の対象となる県が全国へ広がりかねないと指摘した。その場合、人口の少ない地方に議員定数が十分に割かれず、地方創生や人口減少対策といった課題に地方の実情が反映されにくくなるという筋立てである。

「特定枠」では解決しなかった

令和元年の参院選からは、比例代表で政党があらかじめ順位を付けて優先的に当選させられる「特定枠」が導入された。合区で候補者を立てられなくなった県の人材を、比例で救う狙いがあった。

ところが決議は、特定枠で選出された合区対象県の議員が辞職した結果、「合区地域とは無関係な人が繰り上げ当選するという事態も生じており、根本的な合区の解消が断固として必要である」としている。比例名簿の次順位者が繰り上がる仕組み上、その人物が合区の県と縁があるとは限らないためだ。

合区の解消には地方の側でも異論がある。令和6年8月2日の同じ趣旨の決議には「なお、反対意見(大阪府)があったことを申し添える」との一文が付いていた。今年7月16日の決議に同様の記載はない。

決議は、国会の憲法審査会等で「合区解消に向け精力的な議論がなされるようになり、着実に理解が深まってきたと期待される」とも書いている。知事会は次の参院選にあたる令和10年を期限に据え、各党への要請を重ねている。