政府は11日の定例閣議で、日本学術会議の法人化に伴う政令2本を決定した。「日本学術会議法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」と「日本学術会議評価委員会令」で、いずれも内閣府が所管する。
10月1日から「国の機関」ではなくなる
新しい日本学術会議法(令和7年法律第70号)は昨年6月18日に公布され、附則第1条で「この法律は、令和八年十月一日から施行する」と定めている。10月1日が学術会議の法人としての出発点になる。
これまでの学術会議は、1948年7月に公布された旧法(昭和23年法律第121号)に基づく国の機関だった。新法は第3条で「会議は、法人とする」と定め、主たる事務所は東京都に置くと規定している。資本金は政府の出資額の合計とし、必要と認めるときは予算の範囲内で政府が追加出資できる。国の組織の一部から、政府が出資する独立した法人へ器を移す形だ。
一方で新法は第2条2項に、国は法律の運用にあたり「政府の諮問に対する答申等を行うという会議の組織及び業務の特性に鑑み、その運営における自主性及び自律性に常に配慮しなければならない」との規定を置いた。法人化した後も運営の自主性と自律性に配慮するよう、国の側に義務づけた規定だ。
評価委員会は内閣府に設置、委員は会員以外から
今回決まった政令の一つ「日本学術会議評価委員会令」は、新法第51条に基づく組織の細目を定めるものだ。評価委員会は内閣府に置かれ、5人以上7人以内の日本学術会議評価委員で組織する。
委員は学術会議の会員などを除いた外部の人材から選ばれる。要件は、学術研究の動向と国内外の社会経済情勢、産業や国民生活における研究成果の活用状況、または組織の経営について「広い経験と高い識見を有する」こと。任命するのは内閣総理大臣で、任期は3年と定められている。
評価委員会の仕事は二つだ。一つは、学術会議が毎年度まとめる自己点検評価書について、点検の方法と結果を調査審議し、必要があれば学術会議に意見を述べること。もう一つは、中期的な活動計画について意見を述べることだ。学術会議に意見を述べたときは、遅滞なくその内容を内閣総理大臣に通知しなければならない。
6年ごとの計画と毎年度の自己点検
新法は学術会議に、6事業年度ごとに中期的な活動計画を定めるよう義務づけた。計画には業務の目標と達成手段、業務運営と財務内容の改善目標、人件費の見積もりを含む予算や収支計画などを盛り込む。策定するときも変更するときも、評価委員会の意見を聴くことが条件になっている。
毎年度の点検はより細かい。学術会議は事業年度が終わってから3か月以内に、自らの業務の実績を点検・評価した報告書を評価委員会へ提出し、公表しなければならない。中期計画の最終年度とその前年度には、その期間全体の実績も評価の対象に加わる。財務諸表は内閣総理大臣に提出して承認を受ける仕組みで、業務を監査する監事も置かれる。
学術会議の運営を内部から支える機関も新設される。会員候補者選定委員会、選定助言委員会、運営助言委員会の三つで、会員の選考や運営の重要事項を扱う。会長は学術会議を代表し、経営に関する事務を取りしきるとともに、経営の状況を定期的に総会へ報告する義務を負う。
10月1日までに首相が人選
移行の実務は既に動き出している。新法の附則は、内閣総理大臣が施行日の前に、会員となる予定の人を指名し、そのなかから会長が選ばれるまでの間に会長の職務を代行する人を指名すると定めた。監事となるべき人も、施行日前に内閣総理大臣が指名する。指名された監事は、法人が成立した時点で監事に任命されたものとみなされる。
施行日まで残り約2週間半。内閣総理大臣による会員予定者と監事の指名、そして評価委員5〜7人の人選が、10月1日の法人発足に向けた次の節目となる。
