総務省と一般社団法人全国過疎地域連盟は15日、2026年度の過疎地域持続的発展優良事例表彰で、総務大臣賞5件と全国過疎地域連盟会長賞4件を選んだと発表した。表彰式は10月29日、福井県で開く「全国過疎問題シンポジウム2026 in ふくい」で行う。
総務大臣賞は5件 半数以上が住民主体の団体
総務大臣賞は、北海道上士幌町、福井県大野市の和泉自治会、京都府綾部市、島根県邑南町のLLP(有限責任事業組合)てごぉする会、愛媛県西予市のかりとりもさくの会。5件のうち市町村は2つで、残る3つは自治会や住民が作った組織だ。
上士幌町は、寄付金を使った子どもの医療費と保育料の無償化、ICT教育の推進で若年層の定住と移住につなげた。ドローン物流や自動運転バスの社会実証、家畜のふん尿によるバイオガス発電も進め、SDGs未来都市や脱炭素先行地域に選ばれている。
和泉自治会は、自治会が独自に和泉地区の空き家バンクを立ち上げて運営し、移住希望者向けのマッチングツアーを実施している。一人暮らしの高齢者を支える「いずみ♡サポート隊」も作った。綾部市は1999年度に始めた「ふるさとあやべの応援団」制度が評価された。会員に特産品を「ふるさと便」として送り、特産品の安定した需要を生み出す仕組みだ。
LLPてごぉする会は、邑南町口羽地区で役場や公民館が直接手助けしにくい課題を引き受ける。高齢者の生活支援や作業代行の派遣に加え、新聞販売業と仕出し業まで担う。地域で活動したい団体の会計・事務を代わりに引き受け、少人数でも課題に取り組める形を作った点も評価された。かりとりもさくの会は、西予市明浜町狩江地域で田舎体験や修学旅行、企業研修を受け入れ、廃校をワーケーション施設に変えている。
会長賞4件は防災や中学生との協働
全国過疎地域連盟会長賞は4件。山形県酒田市の合同会社COCOSATOは2021年に設立され、じゅんさい採りなどの体験観光を開発してきた。2024年7月に地区が記録的な豪雨災害に見舞われた際はボランティア団体を立ち上げ、現在は「防災学習」として視察研修を受け入れている。
広島県三原市の地域法人おせっかいさんは、三原市立大和中学校の総合学習を、学校・住民・企業・大学生と連携して多世代で支える仕組みにした。熊本県人吉市の鍛冶屋町通りの街並み保存と活性化を計る会は、歴史的建築物の保存や景観保全、ウンスンカルタの復興、国際交流に取り組む。大分県九重町のくらしのサポートセンター東は、ごみ出しや草刈り、買い物、移動といった困りごとを住民同士で解決する仕組みを作り、障害者向けグループホームと契約を結んで、入居者が支えられる側だけでなく支える側としても地域に参加できるようにした。
過疎関係市町村は885 法律は5代目
選定は、過疎地域持続的発展優良事例表彰委員会(委員長・図司直也法政大教授)が行った。
過疎地域の指定は、2021年に施行された過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に基づく。市町村ごとに人口要件と財政力要件で判定し、指定されると国税の特例や地方税の減収補填、ハード・ソフト両方の事業を対象とした地方債措置、公立小中学校や保育所の国庫補助率のかさ上げが受けられる。現行法では長期の人口減少率を測る基準年が1960年から1975年に見直され、財政力が低い市町村については人口減少率の要件が28%から23%に緩められた。
2020年の国勢調査の結果を反映した結果、過疎関係市町村は2021年4月1日時点の820団体から65団体増え、2022年4月1日時点で885団体となった。過疎対策の法律は1970年の過疎地域対策緊急措置法に始まり、1980年の過疎地域振興特別措置法、1990年の過疎地域活性化特別措置法、2000年の過疎地域自立促進特別措置法と作り替えられてきた。現行法は5代目にあたる。半世紀を超えて同じ枠組みが続いているのが実情で、今回の表彰はその中で成果を出した取り組みを選び出したものだ。表彰式は10月29日に福井県で開かれる。
