木原内閣官房長官は14日、総理大臣官邸で、令和3年に皇族数の確保策を議論した有識者会議のメンバーへの報告会に出席し、7月に成立した「皇室典範等の一部を改正する法律」の経緯と内容を報告した。改正法は7月24日に公布されており、公布の日から3か月を経過した10月24日に施行される。昭和22年の皇室典範施行以来、初めての本格的な改正となる。
「79年ぶり」 13回の議論に謝意
木原長官は報告会の冒頭、「皆様には令和3年の有識者会議におきまして、計13回にわたり、熱心に御議論をいただき、最終的には皇室の歴史や伝統を踏まえた非常にバランスの取れた内容の報告を取りまとめていただいた」と述べた。そのうえで「悠仁親王殿下までの皇位継承を揺るがせにしないと、してはならないということをしっかりとお示しをいただいた上で、皇族数の確保のために具体的な方策をお示しをいただき、その点につきましては改めて心より御礼を申し上げる」と語った。
この有識者会議は、平成29年に成立した退位特例法の附帯決議で政府に検討が求められた課題に答えるため、令和3年3月16日の内閣総理大臣決裁で設けられたものだ。メンバーは大橋真由美・上智大法学部教授、清家篤・日本私立学校振興/共済事業団理事長、冨田哲郎・JR東日本取締役会長、中江有里さん、細谷雄一・慶應義塾大法学部教授、宮崎緑・千葉商科大教授の6人(肩書は当時)。13回の議論を経て、同年12月22日に報告書を決定した。
木原長官は「79年前の皇室典範施行以降、はじめてとなる本格的な改正となった。これはひとえに先生方が令和3年の有識者会議で熟議を尽くしてくださったおかげである」と述べた。自身も令和3年当時に総理補佐官としてこの問題に携わっており、「大変感慨深いものがございます」と振り返った。
有識者会議から国会の全体会議へ、5年がかり
報告書が出てから法律になるまでには5年近くを要している。政府は令和4年1月に報告を国会へ提出。その後、令和6年5月以降に衆参の正副議長のもとで各党・各会派の代表が集まる全体会議が計10回開かれ、今年6月に「衆参正副議長による議論のとりまとめ」がまとまった。
政府はこれを受けて法案を作成し、6月30日に国会へ提出。衆院は7月10日の本会議で、参院は特別委員会で7月16日に可決したうえで17日の本会議で可決し、成立した。衆参ともに多数による可決だった。法律番号は令和8年法律第66号。
変わる2点と「30年ごとの見直し」
改正の柱は2つある。1つは、内親王と女王が天皇・皇族以外の男子と結婚しても皇族の身分を離れないこととし、その結婚については皇室会議の議を経ることとした点。独立の生計を営む内親王・女王に支給される皇族費は、これまで独立の生計を営む親王・王の半額だったものが、同額に引き上げられる。ただし施行の時点で内親王・女王である方については、本人の意思により、結婚と同時に皇族の身分を離れる道も残された。
もう1つは養子だ。親王や内親王らは、皇室会議の議を経て、旧皇族の男系男子の子孫で現に皇族でない15歳以上の男子(配偶者と子がいない人に限る)を養子にできるようになる。養子となった男子は皇族となるが、皇位継承資格は持たない。摂政に就く順序は内親王・女王の次に置かれる。
附則には見直し条項も入った。改正後の規定については施行の状況を踏まえて検討を加え、皇族数の確保の状況などを勘案して必要と認められるときは、30年ごとに見直しを行うとしている。
高市総理は法律が成立した7月17日の会見で「公布から三月後の施行に向けて、万全の準備を進めてまいります」と述べた。女性・女系天皇の是非を含む安定的な皇位継承の議論については「立法府の御意思を尊重して対応してまいる」としており、次の論点は国会の側に委ねられている。
