任期満了に伴う沖縄県知事選は13日投開票され、無所属新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)が初当選した。3期目を目指した無所属現職の玉城デニー氏(66)ら5人を破った。古謝氏を推薦した国民民主党の榛葉賀津也幹事長は同日、「我が党が推薦した古謝げんた氏が見事当選を果たした」とする談話を発表し、結果を「県民の皆様の期待の表れであると受け止めている」と述べている。

総務省から那覇市副市長へ 復帰後生まれで初の知事

自民党が公表した略歴によると、古謝氏は1983年10月23日生まれ。那覇市首里石嶺町の出身で、昭和薬科大学附属高校から東京大学薬学部に進み、2006年に卒業した。2008年に総務省へ入り、自治財政局調整課主査、長崎県観光振興課企画監、同県財政課長、復興庁参事官補佐を歴任している。2020年にNTTデータ経営研究所へ移り、2022年12月から今年2月まで那覇市副市長を務めた。沖縄県薬剤師会の副会長でもある。

沖縄が本土に復帰したのは1972年で、復帰後に生まれた人物が県知事に就くのは初めてとなる。古謝氏は2022年の参院選にも立候補しており、公式サイトによると27万1347票を集めたが次点で落選していた。

「倍増」を前面に掲げた公約

古謝氏は「沖縄を、前に。」を掲げ、県民所得・子育て支援・観光消費の三つを「倍増」させると訴えた。公式サイトでは、中小企業のDX(デジタル技術による業務の作り替え)やAI導入の支援、観光・健康・環境・海洋・起業を柱とする「新5K経済振興」、保育料・教育費・給食費の無償化、空港機能の強化と海外航空路線の誘致などを列挙している。

推薦した参政党は7月23日、古謝氏と政策協定を結んだと発表した。協定では県民の所得向上と子どもの貧困対策、賃金上昇と外国人労働力への依存の低減、安定的な電力供給、新たな公共交通の整備、「国境地域としての県行政体制」の構築などで方向性を共有したとしている。自民党は8月7日に推薦を決めていた。

玉城氏は辺野古移設反対を前面に

玉城氏は「命を守る」「くらしを支える」「未来をひらく」の3点を3期目の約束に据え、循環型経済の構築、交通・まちづくりの一体改革、離島振興、エネルギー革命など7本の柱を掲げていた。基地政策では普天間飛行場の早期運用停止・閉鎖・返還と辺野古の新基地建設反対、日米地位協定の見直し、那覇軍港の先行返還を求めた。暮らしの面では18歳までの窓口医療費無料化の拡大や給付型奨学金の拡充を打ち出していた。

米軍普天間飛行場の返還と移設先の扱いは、1996年の日米合意以来、沖縄県政の最大の争点であり続けてきた。玉城氏は2018年の初当選以来、移設反対の立場を貫き、県と国が法廷で争う場面も繰り返されてきた。経済の「倍増」を前面に押し出した古謝氏への交代で、県と政府の距離の取り方がどう変わるかが次の焦点になる。

届け出は6人、得票は42万3124票対27万6060票で確定

県選挙管理委員会の候補者情報によると、今回の届け出は届出順に古謝氏、カネシマシュン氏、すえよしまさひろ氏、玉城氏、ヒガタカシ氏、屋良朝助氏の6人だった。党派は屋良氏が琉球独立党で、残る5人は無所属だった。告示は8月27日で、17日間の選挙戦だった。

県選管が9月16日に訂正した確定値によると、得票は古謝氏が42万3124票、玉城氏が27万6060票で、以下はカネシマシュン氏4657票、ヒガタカシ氏3542票、屋良朝助氏2467票、すえよしまさひろ氏2270票だった。有効投票は71万2120票、無効投票は5584票、投票総数は71万7704票である。市町村別の内訳は沖縄県知事選、古謝玄太氏42万3124票で確定 玉城氏に14万7064票差 41市町村のうち40で上回る 投票率は57.92%から61.57%へにまとめた。

投票率61.57%の内訳 41市町村のうち27で上昇、14で低下

確定した投票率は61.57%で、前回2022年の57.92%を上回った。選挙当日の有権者数は116万5704人、投票者数は71万7713人、棄権者数は44万7991人で、有権者の38.43%が投票所に行かなかったことになる。男女別では男性が60.86%、女性が62.24%で、女性の方が高い。

投票率は県内で一律に上がったわけではない。41市町村のうち前回を上回ったのは27市町村で、残る14市町村では前回を下回った。上がり幅が最も大きかったのは与那国町で、前回の61.04%から86.92%へ跳ね上がった。竹富町も63.03%から80.01%へ上がっている。逆に下がり幅が最も大きかったのは粟国村で、前回の73.83%から60.60%へ落ちた。恩納村は67.16%から54.48%、北大東村は88.64%から76.35%へ下がった。

水準で見ると、最も高かったのは伊是名村の90.97%で、渡嘉敷村90.70%、与那国町86.92%が続く。最も低かったのは宮古島市の52.71%で、恩納村54.48%、糸満市56.93%の順に低い。前回を下回った14市町村のうち、南城市(68.52%から62.70%)と名護市(65.96%から64.89%)を除く12は人口の小さな村と町で、母数が小さいぶん数字が大きく動きやすい。

県全体を市部と郡部に分けると、市部は56.44%から60.67%へ、郡部は63.00%から64.63%へ上がった。投票率の上昇は主に市部で起きている。有権者が最も多い那覇市は53.97%から59.71%へ、浦添市は55.73%から61.71%へ、うるま市は52.50%から58.36%へ上がった。宮古島市も46.57%から52.71%へ上がった。水準は県内で最も低いが、前回からの上がり方は那覇市と同程度である。

投票率とは、選挙当日の有権者数のうち実際に投票した人の割合をいう。選挙期間中に名簿が動くため、告示時点の選挙人名簿登録者数(117万6321人)とは一致しない。今回の分母は当日有権者数の116万5704人である。期日前投票をした人も投票者数に含まれる。

復帰後15回のうち低い方から4番目 投票した人数では3番目に多い

県選管の年報によると、1972年の本土復帰後に行われた県知事選は今回が15回目になる。第1回(1972年6月25日)の投票率は76.32%で、最も高かったのは第2回(1976年6月13日)の82.07%だった。1980年代までは80%前後で推移し、1994年の第7回で62.54%まで落ちた後は60%台が続いている。

この並びに今回の61.57%を置くと、15回のうち低い方から4番目にあたる。下にあるのは第9回(2002年)の57.22%、第14回(2022年)の57.92%、第11回(2010年)の60.88%の3回だけで、前回より上がったとはいえ、復帰後の水準としては低い側に属する。

一方、投票した人の実数で見ると位置づけは変わる。今回の投票者数71万7713人は、第13回(2018年)の72万5254人、第8回(1998年)の71万9159人に次いで3番目に多い。率が低めでも人数が多いのは、有権者そのものが増えてきたためである。第1回の選挙当日有権者数は58万2754人で、今回の116万5704人はその2.0倍にあたる。

ただし有権者の増加は、ここ4年では止まっている。当日有権者数は前回2022年の116万5610人から94人増えただけで、ほぼ横ばいだった。それでいて投票者数は67万5168人から71万7713人へ4万2545人増えており、今回の投票率の上昇は、有権者が増えたからではなく、これまで投票していなかった人が投票所に行ったことで起きている。

9月30日に就任 辺野古課を廃止し「早期返還対策室」へ

古謝氏は9月30日に初登庁し、沖縄県知事に就任した。県が公表した就任記者会見録によると、午前中に玉城前知事の代理の宮城嗣吉副知事から事務の引き継ぎを受けた。最初に着手することを問われると、まず県庁職員の話を聞くとしたうえで、物価高への対策を補正予算を含めて急ぐこと、2027年度の沖縄振興予算の確保に向けて「沖縄政策協議会」の年内開催を国と調整することを挙げた。

選挙戦で最大の争点だった基地政策は、組織の形で最初に変わった。古謝氏は会見で、玉城県政が置いていた辺野古新基地建設問題対策課を10月1日付で廃止し、基地対策課の中に「早期返還対策室」を設けると表明した。県のホームページのうち、普天間飛行場の返還をめぐる経緯や裁判の資料は基地対策課のページへ移して掲載を続ける。一方で、前県政の方針に基づいて辺野古移設への反対を発信してきたページは「私の方針とは異なっております」として、いったん公開を止めるとした。

基地負担の軽減では、前県政と同じ要求も続ける。古謝氏は会見で、日米の統合計画で嘉手納飛行場より南の返還が決まっている約1048ヘクタールのうち、返還済みは約73ヘクタールにとどまると指摘した。在沖海兵隊のグアムなどへの国外移転も、約9000人の計画に対して移ったのは先遣の約100人だけだとして、残りの計画と時期を示すよう国に求めるという。県として新たな計画は作らず、「日米が約束したことを、期限を示して実行させることが重要」と述べた。

10月6日に開会した県議会では、就任あいさつで「手取り」「子育て支援」「観光消費」をそれぞれ2倍にする三つの目標に期限と数字を付けた。一人当たり県民所得は今後10年間で500万円、子育て予算は4年の間に1000億円、観光収入は今後8年間で2兆円を目指すとしている。基地政策については、普天間飛行場の危険性除去に向けた「現実的な解決策」として辺野古移設を容認すると明言した。所信表明の内容は古謝玄太知事、辺野古移設の容認を所信表明でも明言で詳しく扱っている。