日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年に日本を訪れた外国人旅行者(訪日客)は年間で約4268万人となり、初めて4000万人を突破して過去最高を更新した。前の年(2024年)の約3687万人を15.8%上回った。
訪日客は、新型コロナウイルスの流行で一時ほぼゼロにまで落ち込んだが、その後は急速に回復し、記録を更新し続けている。背景には、歴史的な円安で外国人にとって日本旅行が割安になっていることや、国際線の運航が戻ったこと、SNSを通じて日本の観光地や食が世界に広まったことなどがある。
国・地域別にみると、最も多かったのは韓国で約946万人。次いで中国が約910万人、台湾が約676万人、米国が約331万人、香港が約252万人と続いた。JNTOが調査対象とする23の国・地域のうち、20の市場で年間の過去最高を記録した。オーストラリアは初めて年間100万人を超え、7つ目の「100万人市場」となった。
インバウンド(訪日外国人旅行)は、旅行や宿泊、買い物などを通じて日本国内にお金を落とすため、輸出と同じように国の経済を潤す効果がある。人口減少で国内市場の縮小が見込まれる日本にとって、観光は数少ない成長分野の一つと位置づけられている。
政府は2026年3月、2026年度から2030年度までの新たな「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。2030年に訪日客数6000万人、旅行消費額15兆円という高い目標を掲げ、東京や京都などに集中しがちな旅行者を地方へ分散させることや、一度訪れた人が繰り返し来るリピーターを増やすことを重点に据えている。
一方で、旅行者の急増は課題も生んでいる。人気の観光地では混雑や交通機関の混み合い、一部のマナー違反などが目立ち、地域住民の暮らしに影響が出る「オーバーツーリズム(観光公害)」が問題になっている。政府の計画でも、観光振興と住民生活の両立を図る考えが示されている。