経済産業省が6月30日に発表した5月の鉱工業生産指数(速報値)は、季節調整済みで103.0(2020年=100)となり、前の月より0.5%上昇した。上昇は2か月連続となる。

鉱工業生産指数は、工場でどれだけモノが作られたかを国全体でならして示す指標だ。自動車や電子部品、化学製品など幅広い品目の生産量を、2020年を100とした数値に置き換えて集計する。企業の景況「感」を尋ねる日銀短観とは違い、実際に生産された量の実績を表すため、景気の現状を測る代表的なデータの一つとされる。

5月は、集計対象の全15業種のうち7業種が上昇し、8業種が低下した。全体を押し上げたのは化学工業で、無機・有機化学工業が前月比3.7%増えた。品目別ではポリエチレンやパラキシレンといった石油化学製品の生産が大きく伸びた。石油・石炭製品工業も9.1%の増加となった。原料となるナフサ(粗製ガソリン)の輸入が増えたことや、点検で止まっていた設備が修理を終えて稼働を再開したことが回復の背景にある。輸送機械工業も生産を伸ばした。

一方で、低下した業種も8業種にのぼり、上昇と低下がほぼ半々で入り交じった。こうした状況を反映し、経産省は生産の基調判断を前回と同じ「一進一退で推移している」に据え置いた。景気が力強く上向いているとまでは言えず、業種によってばらつきがある状態が続いていることを示す表現だ。

先行きについて、企業に翌月以降の生産計画を聞いた製造工業生産予測指数では、6月は上昇が見込まれる一方、7月は伸び悩む見通しとなっている。予測指数は企業の計画をもとにした数値で、実績とはずれることが多く、経産省は幅を持って見るよう促している。

鉱工業生産は、輸出や設備投資の動向を映しやすく、景気の実態を測る手がかりになる指標だ。今回は化学など一部の業種がけん引して2か月連続のプラスを確保したが、上昇と低下の業種数がほぼ並び、基調判断も据え置かれた。5月分は速報値で、確報値は7月中旬に改めて公表される。