こども家庭庁は9月18日、旧優生保護法補償金等支給法に基づく補償金等の請求・相談件数と支給認定の状況を更新した。2026年8月末時点で、2025年1月17日の法施行以降の請求は累計2804件、相談は8659件にのぼる。支給認定は2028件だった。
この法律は、2024年7月3日の最高裁大法廷判決を受けて同年10月に議員立法で成立し、2025年1月17日に施行された。最高裁は、旧優生保護法の規定が憲法第13条と第14条第1項に違反すると判断し、国の損害賠償責任を認めた。法律の前文で国会と政府は、生殖を不能にする手術を強制してきたことについて責任を認め、謝罪している。
支給額は、優生手術等を受けた本人への補償金が1500万円、その配偶者が500万円。ほかに、生存している本人への優生手術等一時金が320万円、人工妊娠中絶等を受けた本人への人工妊娠中絶一時金が200万円と定められている。
請求は月500件から35件へ
請求の内訳は、本人請求が1150件、特定配偶者請求が318件、遺族請求が520件、特定配偶者の遺族請求が236件、優生手術等一時金請求が361件、人工妊娠中絶一時金請求が219件。このほかに、2019年に成立した一時金支給法による一時金の請求受付が1405件ある。
こども家庭庁が都道府県向けの説明会で示した資料によると、旧優生保護法に基づく優生手術の実施件数は約2万5千件と推定されている。請求の累計2804件は、その1割台にとどまる計算になる。
請求のペースは急速に落ちている。同庁の資料では、法施行直後の2025年2月は月500件程度あったが、2026年2月は月60件程度に減った。今回公表された2026年8月分は請求35件、相談220件で、減少はさらに進んでいる。対象となる人の多くが高齢で、制度を知る手がかりが限られていることが背景にある。
認定2028件、70歳代が最多
支給認定2028件のうち、審査会の審査が不要だったものが1354件、認定審査部会の審査結果に基づき認定したものが674件だった。すでに2019年の一時金支給法で一時金を受け取っている人は、記録が確認できるため審査を経ずに認定される仕組みになっている。一時金支給法による一時金の認定件数は、これとは別に1198件ある。
補償金(本人分)の認定を年齢層で見ると、70歳代が414人で最も多く、80歳代247人、60歳代150人、90歳代85人と続く。50歳代は20人、40歳代は3人、100歳以上も6人いた。男女別では女性689人に対し男性236人で、女性が3倍近い。優生手術等一時金でも女性138人、男性39人と差が大きい。
請求期限は2030年1月16日
請求期限は2030年1月16日と定められている。残る期間で、まだ請求していない人にどう制度を届けるかが課題になる。
都道府県は、記録が残っている人への個別通知を進めている。2026年2月時点の調査では、すでに一時金を受け取った人への個別通知は全都道府県が着手し、うち35県が把握している対象者への通知を2025年度中に終える見込みだった。一方、一時金を受け取っていない人への個別通知に着手したのは28県で、完了は9県にとどまる。手術の記録そのものが残っていない人も多く、通知だけでは届かない。
こども家庭庁は2026年度、都道府県と市町村が第8期障害福祉計画などを策定する際に行うアンケート調査に補償金のリーフレットを同封するよう求めている。障害者手帳の保有者は2022年時点で約610万人、自立支援医療の支給認定者は約296万人おり、この経路を使えば幅広く周知できるとみている。あわせて、施設や機関が持つ旧優生保護法に関連した資料や記録を、保存期限を問わず当分の間は廃棄せずに保存するよう要請している。
