政府は17日、同日発足した第2次高市改造内閣の基本方針を閣議決定した。「責任ある積極財政」により「強い経済」を実現し、「力強い日本外交」を展開すると掲げ、内閣の総力を挙げて進める政策を4項目に整理した。基本方針は、内閣が何を優先して取り組むかを発足時に文書で示すもので、各省庁が政策を組み立てる際の土台になる。
「GDP拡大の下での好循環」で債務比率を下げる
第1項目は「『責任ある積極財政』の考え方に基づく経済財政運営」。世界各国が大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策を展開し、高付加価値な産業や人材を奪い合う国家間の競争が激しくなっているとの認識を冒頭に置いた。
そのうえで、政府が一歩前に出て官民連携の下、「日本成長戦略」の17の戦略分野を中心とした「危機管理投資」「成長投資」を進め、「地域未来戦略」の3類型に基づく産業クラスター計画を推し進めるとした。狙いは、潜在成長率を高め、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税収が自然に増えるという循環をつくることだとし、その結果として債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、成長と財政の持続可能性を両立させると書いた。増税や歳出削減ではなく、分母にあたる経済の規模を膨らませて借金の重さを薄める、という筋道である。
外需にも触れた。閣僚が外国のカウンターパートと会談する際には相手国市場のニーズを把握して日本産品の導入を働きかけ、その内容を内閣全体で共有する、という具体的な段取りまで記した。
消費税と支援金、次の国会で法制化
物価高への対応は「最優先課題」と位置づけた。物価高や税・社会保険料の負担に苦しむ中低所得者の負担を軽くするとして、社会保障国民会議の議論を踏まえ、飲食料品の消費税率の臨時的な引き下げと、就業者負担軽減支援金の導入を含む税と社会保障の一体改革に取り組むと明記した。
高市首相は17日夜の記者会見で、この法案について、9月15日に閣議決定した大綱に基づき「必要な法制上の措置などを可及的速やかに講ずる」と説明。「なるべく多くの政党に御賛同いただけますように、法案の準備や審議に丁寧に臨んでまいるつもりでございます」と述べた。参議院では与党が過半数を持たないため、野党の一部の賛成なしには成立しない。
衆議院の議員定数削減法案については、議員立法で先の特別国会に自民党と日本維新の会から提出され継続審議になっていると説明したうえで、「議員定数の在り方は民主主義の根幹に関わる問題で、まずは国会で議論いただくべき事柄だ」として、議論の状況を注視すると述べるにとどめた。
防災・治安と、年内の「三文書」見直し
第2項目「国民の命と暮らしを守る」には、地震・豪雨への対応、東日本大震災や熊本地震からの復興に加え、特殊詐欺への対策、「外国人との秩序ある共生社会」の実現、人口減少への対応を並べた。経済安全保障担当相を中心に絶えずサプライチェーン調査を実施し、デジタル相を中心に自治体や事業者と連携してサイバーセキュリティ対策・訓練を強化するとした。
第3項目は「外交力と防衛力の強化」。日米同盟を基軸に「自由で開かれたインド太平洋」を進化させ、北朝鮮による拉致被害者の早期帰国に取り組むとしたほか、「国家情報会議」を司令塔とするインテリジェンス機能の強化と、防衛力の抜本的強化に向けた「戦略三文書」の見直しを進めると書き込んだ。首相は会見で、留任した防衛相に「年内に行う、いわゆる『三文書』の見直しの重責」を果たしてもらうと述べた。
「分かりやすく発信する」を項目に立てる
4項目目には「政策広報の充実」が独立して置かれた。内閣の施策を国民に十分に理解して活用してもらえるよう、新しい法制度や検討中の施策について分かりやすく発信する、という内容だ。経済・安全保障・暮らしといった政策分野と並べて広報そのものを柱に立てる書き方は目を引く。制度をつくっても伝わらなければ使われない、という問題意識がうかがえる。
臨時国会は10月上旬に召集される見通しで、消費税率引き下げの関連法案が最初の関門になる。
