映画「踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!」は、2026年9月18日の公開から27日までの10日間で、観客動員数149万人、興行収入21.5億円を突破した。公式サイトが9月29日に発表した。公開後には出演者が相次いで明かされ、21日には神木隆之介が「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年)以来、23年ぶりにシリーズへ出演していると発表された。
公開前は伏せていた出演者を公開後に小出しにし、10月に入ってからは過去作の再上映、応援上映、副音声上映と、もう一度劇場へ足を運ぶ理由を順に用意している。青島俊作を主人公に据えた劇場版としては14年ぶりの新作で、シリーズは29年目に入っている。
公開10日で動員149万人、興収21.5億円
公式サイトによると、公開から9月27日(日)までの10日間で観客動員数は149万人、興行収入は21.5億円を超えた。2つの数字を割ると、観客1人あたりの入場料収入は約1440円になる。
この数字を、シリーズの過去の実績と並べてみる。公式サイトによると、これまでの映画8作の累計動員数は3863万人、累計興行収入は524.1億円で、単純に割れば1作あたり約483万人、約65.5億円になる。最大のヒットとなった「THE MOVIE 2」は最終的に興行収入173.5億円を記録し、日本映画製作者連盟の集計でも2003年の邦画1位だった。公開10日間の21.5億円は、シリーズ1作あたりの平均の3分の1ほどにあたる。
ただし、10日間の数字から最終的な興行収入を見通すことはできない。公式サイトが公表した数字は9月29日の発表が最新で、それ以降の累計は10月14日時点で出ていない。作品単位の確定値が公的に並ぶのは、日本映画製作者連盟が毎年1月に公表する前年の興行収入10億円以上の作品リストで、2026年公開作は2027年1月の公表になる。
東宝の9月の邦画興収は82億円、前年同月の43.8%
配給する東宝は毎月10日前後に「Monthly Box Office」として部門別の興行収入を公表している。10月9日に出た2026年9月分によると、東宝映画営業部が配給した邦画作品の興行収入は82億400万円で、前年同月の187億3100万円の43.8%にとどまった。主な上映作品の2番目に、この作品の名前が挙がっている。
1〜9月の累計は735億400万円で、前年同期の62.9%になる。8月分の公表時点では1〜8月累計が653億円で前年同期の66.6%だったから、9月に入って前年との差はさらに開いた。月別に見ると、2026年は4月の131億7700万円、8月の149億1600万円が山で、6月は23億1700万円、7月は85億5300万円と前年同月の3〜4割に落ち込んだ月もある。
一方、2024年9月の65億3800万円、2023年9月の50億7000万円と比べると、今年の9月は上回っている。前年比の落ち込みは、前年の数字が大きかったことの影響も受けている。この部門別の数字は東宝が配給した邦画全体の合計で、作品ごとの内訳は公表されていない。この作品が9月の82億円のうちどれだけを占めたかは、この資料からは分からない。
公開後に明かされた3人の出演者
公式サイトが公開当日の18日に発表したのは、声優の林原めぐみと、お笑いタレントの山本高広の2人である。林原は劇中に登場する架空の映画「劇場版 セブンベア」の映像内でナレーションを担当した。公式サイトに寄せたコメントで「劇場版の予告収録は何度も経験がありますが劇場版の中の劇場版?(笑)は初めてかもしれませんね」と述べ、標準のナレーション、白くま君版、セブンベア版など複数の版を録ったことを明かしている。
山本については、公式サイトが「筋金入りの『踊る』ファン」と紹介した。山本は織田裕二のものまねで知られる。コメントでは「まさかの!映画『踊る大捜査線 N.E.W.』での織田裕二さんとの共演!!!」「事件は劇場で起きてるんだ!」と記した。
21日に発表されたのが神木隆之介である。公式サイトは「『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』以来の『踊る』シリーズに出演」と説明し、「本作ではどのシーンに出てくるのか、映画館でお楽しみください」として役柄は明かしていない。神木は「時が経ち、あの時と同じ台詞を言えるなんて。出番は一瞬ですが、僕にとって最高の思い出です」とコメントしている(公式サイトが劇場パンフレットから一部を抜粋して掲載)。THE MOVIE 2の公開は2003年で、23年前にあたる。神木がどの役で再登場したのかは公表されていない。
150万部限定の「特別捜査本部資料」
入場者に配っているのは「特別捜査本部資料」と題した小冊子で、公式サイトは「本編の裏情報がたっぷり詰まった、映画がさらに楽しめる特別な冊子」と説明している。18日から上映館で配り、鑑賞者1人につき1冊。劇場ごとに数に限りがあり、無くなり次第終了となる。非売品で、転売や内容の複写・複製・転用は禁じている。
入場者プレゼントは、邦画が公開初動の動員を積み上げるために使ってきた定番の手法である。配布物そのものが目的で劇場に足を運ぶ観客を見込め、初週の数字が翌週以降の上映規模を左右するためだ。全国合計の150万部に対し、公開10日間の動員は149万人と、部数に迫る規模になった。公式サイトは10月14日時点で、配布の終了や次の入場者プレゼントを告知していない。各劇場での残数は劇場ごとに異なる。
応援上映、副音声上映、過去作の4K上映
公開後の催しは、9月の舞台挨拶から10月の特別上映へと移っている。公開初日の18日には東京・TOHOシネマズ日比谷で初日舞台挨拶を開き、織田裕二、趣里、白洲迅、増田貴久、野呂佳代、玉井詩織(ももいろクローバーZ)、藤吉夏鈴(櫻坂46)、齊藤なぎさ、本広克行監督の登壇予定で、その模様を全国の劇場へ生中継した。28日には東京・ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で公開記念舞台挨拶を開き、織田裕二、ユースケ・サンタマリア、真矢ミキ、伊藤淳史、本広監督が登壇予定とされた。
10月7日には2つの企画が発表された。1つはシリーズ初の応援上映で、公式サイトは「“後方支援・発声許可”上映」と名付けた。10月15日にTOHOシネマズ日比谷、22日に日比谷・新宿・名古屋栄・なんばの4館で開き、ペンライトなどの持ち込みと声援を認める。15日は上映前に野呂佳代、本広監督、亀山千広プロデューサーが登壇予定だ。もう1つは副音声上映で、10月16日から12月13日まで、本広監督、脚本の君塚良一、亀山プロデューサーによる解説をアプリ「HELLO! MOVIE」で聞けるようにする。全国の上映館の全上映回が対象になる。
もう1つの柱が、9月29日に発表した「踊る」シアターである。最新作のヒットを記念し、TOHOシネマズの新宿・すすきの・名古屋栄・なんば・ららぽーと福岡の5館で、過去作を4Kデジタルリマスター版などで5週連続上映している。10月2日の「THE MOVIE」から始まり、9日から「THE MOVIE 2」、16日から「THE MOVIE 3」、23日から「THE FINAL」、30日から11月5日までは「交渉人 真下正義」「容疑者 室井慎次」と室井慎次2部作の日替わりとなる。料金は一般1500円。
青島主演の劇場版は14年ぶり
「踊る大捜査線」は1997年の連続ドラマで始まり、警視庁湾岸署の刑事・青島俊作を主人公に据えたシリーズとして定着した。シリーズは「THE FINAL 新たなる希望」でいったん幕を閉じ、その後に公開されたのはスピンオフの「容疑者 室井慎次」や「室井慎次」2部作だった。公式サイトは今作を「『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』から14年の時を経て」と紹介しており、青島を主人公に戻した劇場版は14年ぶりになる。
新作は監督が本広克行、脚本が君塚良一、企画・プロデュースが亀山千広と、連続ドラマからシリーズを担ってきた布陣が並ぶ。副題の「N.E.W.」は「NEXT. EVOLUTION. WORLD.」の頭文字で、青島が警視庁刑事部捜査第一課に着任した2026年を舞台にする。誘拐事件の犯人が青島を身代金の「運び屋」に指名し、3Dプリンター拳銃による連続殺人と、盗まれた毒性ウイルスをばらまくという脅迫が重なる筋書きだ。
公開の前後には、旧作が地上波で順に放送された。公式サイトの一覧では、8月15日の「THE MOVIE」、22日の「THE MOVIE 2」、9月5日の「THE MOVIE 3」、12日のドラマ「THE LAST TV」、公開翌日の19日の「THE FINAL」、26日の「交渉人 真下正義」と続き、10月1日の「容疑者 室井慎次」、3日の「室井慎次 敗れざる者」、10日の「室井慎次 生き続ける者」までが予定として載っていた。テレビで旧作を見せ、劇場では最新作と4K版の過去作を並べる。29年分の作品を公開の前後3カ月に集めた組み立てである。
興行の途中経過は、配給会社や製作側が節目で発表することが多い。たとえば劇場版「チェンソーマン レゼ篇」、公開1年でPrime Video独占配信 国内は103日で興収100億円・動員655万人のように、到達した数字がその都度示される。この作品の次の数字も、公式サイトか配給の東宝から出てくることになる。
