総務省は9月15日、固定資産税の評価額を算定する際の物差しとなる固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)の一部改正案を、総務相の諮問機関である地方財政審議会の固定資産評価分科会に諮り、意見を聴いた。2027年度の評価替えに向けた改正で、既に建っている家屋の評価に使う「再建築費評点補正率」を木造1.16、非木造1.20とする。16日から10月20日まで国民の意見を募集し、11月に告示する予定だ。

工事原価の上昇を3年ぶりに織り込む

固定資産税の家屋の評価額は、同じ建物を今もう一度建てたらいくらかかるかを点数に置き換えた「再建築費評点数」に、古さに応じて点数を減らす経年減点補正率と、1点当たりの価額を掛けて求める。このうち再建築費評点数は、3年に1度の評価替えのたびに、前年度の点数へ再建築費評点補正率を掛けて更新する仕組みだ。

改正案の木造1.16、非木造1.20は、前回の2024年度基準の木造1.11、非木造1.07から引き上げとなる。総務省の資料によると、補正率は2022年7月の物価水準による工事原価に対する2025年7月の工事原価の比率として算出する。2024年度基準で評価された家屋を全国から2019棟抽出し、2027年度の基準に置き換えて変動率の平均を求めたところ、木造家屋511棟が1.169、非木造家屋1508棟が1.209となった。これを丸めた数字が今回の案だ。

補正率を上げると、木造家屋の評価に使う経年減点補正率基準表の区分がずれ、これまでと違う区分が当てはまってしまう家屋が出る。総務省は同じ表の区分の点数にも1.16を掛け、評価替えの前後で各家屋の適用区分が変わらないようにする改正を併せて行う。

据え置きの仕組みは2029年度まで延長

補正率が上がっても、そのまま税額が増えるわけではない。家屋の評価額には、評価替えで計算し直した「理論評価額」が前年度の決定価格を上回る場合には前年度の価格に据え置く、という経過措置がある。増改築があった場合は据え置かず再評価する。建物は年を追うごとに経年減点補正率が下がるため、多くの既存住宅では理論評価額が前年度の価格を下回り、評価額は下がっていく。

総務省は、この据置措置と、据え置くことで課税上著しく均衡を失する場合に評価額を求め直せる不均衡是正措置の経過措置を、いずれも2029年度まで延長する案を示した。不均衡是正措置は、評価水準が低かった1963年度以前に建てられた家屋などに適用されてきたものだ。

盛岡・福島は1点0.945円から0.9975円に

1点当たりの価額も見直す。この価額は1円に、東京都特別区とその他の都市の物価水準の差を反映する「物価水準による補正率」と、工事原価に含まれない設計監理費や一般管理費を上乗せする「設計管理費等による補正率」を掛けて市町村長が定める。木造の物価水準による補正率は1.00、0.95、0.90の3区分、非木造は一律1.00で、設計管理費等による補正率は木造1.05、非木造1.10だ。

2024年度基準では、木造の0.90は盛岡市と福島市の2市だけに適用されていた。改正案は専門機関の指標や有識者の意見を踏まえ、この2市の補正率を0.90から0.95に改める。木造家屋の1点当たりの価額は、盛岡市と福島市では1円×0.90×1.05=0.945円から、1円×0.95×1.05=0.9975円に上がる計算になる。札幌、東京都特別区、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の8市区は1.00のまま据え置かれ、1点当たりの価額は1.05円だ。

土地は今年前半の地価下落を反映できるように

土地についても2つの改正を行う。1つは、2027年度の宅地の評価で、市町村長が2026年1月1日から7月1日までの半年間に標準宅地などの価格が下落したと認めた場合、都道府県地価調査や不動産鑑定士の鑑定評価を使って評価額を修正できるようにする措置だ。宅地の評価額は評価替えの前年1月1日の地価公示価格などの7割を目安に評定するため、その後に地価が下がった地域では実勢とのずれが生じる。それを補う扱いで、前回も2023年の同じ期間を対象に同様の措置が設けられていた。

もう1つは、田、畑、山林について各都道府県から1市町村ずつ指定し、価格算定の目安となる提示平均価額を出す「指定市町村」の入れ替えだ。田では北海道が美唄市から勇払郡厚真町に、沖縄県が名護市から石垣市に変わる。畑では北海道が河東郡音更町から空知郡上富良野町に、熊本県が菊池郡菊陽町から上益城郡甲佐町に、山林では北海道が北見市から足寄郡足寄町に、山梨県が南巨摩郡南部町から山梨市に変わる。

意見は電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォームのほか、電子メールや郵送でも受け付ける。総務省は寄せられた意見と分科会の意見を踏まえ、速やかに評価基準を改正する方針だ。