総務省は9月16日、恩給や国会議員互助年金に関する請求手続きで、恩給証書など紙の書類の添付や返納を求めないようにする政令を公布したと発表した。施行は10月1日。あわせて同じ趣旨の省令の意見公募結果も公表した。同省政策統括官(恩給担当)は、恩給関係の請求手続きを10月からオンラインでも行えるようにする予定で、紙の証書の添付を求めていることが「オンライン完結を妨げ、手続を行う者の手続負担となる」と説明している。
4月にマイナンバー連携、10月にオンライン化
総務省は今年4月から、恩給の事務でマイナンバー(個人番号)を使った情報連携を始めている。今回の政令と省令は、その次の段階にあたるオンライン申請の準備にあたる。恩給証書の添付を求めないことに加え、恩給または国会議員互助年金に関する証書などの添付・返還を求めているすべての手続きについて、返納を求めないよう改める。
意見公募は7月24日から8月27日まで行われ、24件の意見が寄せられた。提出された意見と総務省の考え方は同省の報道資料に別紙として掲載されている。資料は電子政府の総合窓口「e-Gov」のパブリック・コメント欄でも公開される。
恩給は、1923年(大正12年)制定の恩給法に基づき、旧軍人や戦前の官吏らが公務のために死亡したり、公務で負傷・疾病を負ったり、相当年限勤めて退職したりした場合に、国が本人や遺族に給付する制度だ。共済年金や厚生年金とは別の枠組みで、現在も総務省が所管している。
受給者5万4490人のうち、本人は498人
総務省によると、今年3月末時点の恩給受給者(総務大臣裁定分)は5万4490人。内訳は旧軍人関係が5万3496人、文官や教育職員などの一般文官関係が994人となっている。
このうち本人が受け取る恩給(普通恩給、増加恩給、傷病年金など)は498人にとどまり、残る5万3992人は遺族が受け取る普通扶助料や公務扶助料、傷病者遺族特別年金などだ。受給者の99%が遺族で、制度の実態は戦没者や旧軍人の遺族への給付が中心になっている。
受給者数は1969年度(昭和44年度)の282万5000人がピークで、令和8年度の予算人員はその約2%まで減った。令和8年度の恩給費予算額は412億円で、内訳は旧軍人遺族等恩給費が400億円、文官等恩給費が12億円。予算額も1983年度(昭和58年度)の1兆7327億円をピークに減り続け、今はピーク時の約2%となっている。終戦から81年が過ぎ、制度は縮小の局面にある。
廃止から20年、なお支給が続く議員年金
今回の政令が「廃止前の国会議員互助年金法施行令」の改正という形をとっているのは、国会議員互助年金がすでに廃止された制度でありながら、支給が続いているためだ。
国会議員互助年金法(1958年法律第70号)は、2006年2月10日に成立した廃止法(平成18年法律第1号)によって同年4月1日に廃止された。ただし廃止法の附則は、施行日より前に受給権の裁定を受けていた元議員らについて、旧法の規定が「なおその効力を有する」と定めている。すでに受け取っていた人の年金は、廃止後も打ち切られなかった。
金額は減額された。廃止法附則第3条は、年額の計算のもとになる歳費月額に応じ、2006年4月分以降の年額をもとの90〜96%に改めると定めている。歳費月額88万円の区分で96%、96万9000円で93%、98万9000円で92%、103万円で90%だ。現職だった議員が退職後に受け取る分は、附則第9条により85%に抑えられている。
支給停止の仕組みもある。附則第5条は、年金額と前年の他の所得の合計が700万円を超える場合、超過分の2分の1にあたる額の支給を止めると定めた。国会議員の歳費と期末手当は、この所得の計算から除かれる。廃止から20年が経っても、旧法に基づく年金は恩給費と同じ枠組みで事務が続いており、今回の政令改正もその一環になる。
