スズキは7月9日、軽自動車「スペーシア」「スペーシア ベース」「ハスラー」の3車種、計46万1952台について、エンジン部品に不備があるとして国土交通省にリコールを届け出た。エンジンのクランクプーリボルトのボルトが折れると、エンストする恐れがあるという。同じ日に、スズキから車体の供給を受けているマツダも、OEM(相手先ブランドによる生産)車の「フレア ワゴン」「フレア クロスオーバー」計3万7507台をリコール。両社を合わせた対象台数は約50万台に上る。
どんな不具合なのか
問題があるのは「クランクプーリボルト」と呼ばれる部品だ。クランクプーリとは、エンジンの回転を生み出すクランクシャフト(動力を伝える中心軸)の先端に取り付けられた円盤状の部品で、そこからベルトを介してエアコンや発電機などの補機類を動かしている。このプーリを軸に固定しているのが、今回対象となったボルトである。
スズキの届け出によると、このボルトは「締付および強度設定が不適切なため、耐久性が不足しているものがある」。ボルトが折れると、クランクシャフトの回転位置(位相角度)を検出する部分に支障が出て、エンジンを適切に制御できなくなり、最悪の場合は走行中にエンストする恐れがあるとしている。改善措置として、対象の全車両でボルトを対策品に交換し、プーリなどに損傷がある場合は新品に取り換える。費用はいずれも無料。
46万台の内訳と対象期間
スズキ分の対象台数の内訳は、主力の「スペーシア」が約38万台と大半を占め、アウトドア向けの「ハスラー」が5万4571台、商用向けの「スペーシア ベース」が2万6617台。製造時期は平成31(2019)年1月から令和7(2025)年7月までと6年半にわたり、モデルチェンジをはさんで幅広い年式が含まれる。マツダのOEM車は、「フレア ワゴン」が2万8493台、「フレア クロスオーバー」が4013台だった。
スペーシアとハスラーは、いずれもスズキの販売を支える人気の軽自動車で、対象台数が数十万台規模に膨らんだのはそのためだ。届出番号はスズキ分が5843で、リコール開始日は7月10日。対象となる車の使用者には、各社からダイレクトメールや電話で個別に連絡が入るほか、車台番号を入力して対象かどうかを確認できる検索ページが両社の公式サイトに設けられている。
リコールとは何か
リコールは、設計や製造の段階に原因があり、安全基準に適合しなくなる恐れがある不具合について、メーカーが国に届け出たうえで無償で回収・修理する制度だ。道路運送車両法に基づくもので、故障してから直す通常の修理とは異なり、事故が起きる前に予防的に手を打つ点に特徴がある。エンジンの停止につながりうる不具合は走行の安全に直結するため、対象車のユーザーは早めにディーラーへ相談することが求められる。