総務省統計局が9月24日に公表した人口推計によると、2026年4月1日現在の65歳以上人口は3621万1千人で、前年同月からの増加は1万9千人にとどまった。増加率は0.05%で、ほぼ横ばいといえる水準だ。ところが、そのうち75歳以上は2153万1千人と、前年同月から47万9千人(2.27%)増えている。高齢者の総数がほとんど増えていないのに、75歳以上だけが大きく増えたことになる。

65〜74歳は1年で約46万人減った

65歳以上から75歳以上を差し引くと、65〜74歳の人口が出る。今回の確定値では65〜69歳が713万7千人、70〜74歳が754万2千人で、合わせて約1468万人。前年同月は65歳以上が3619万2千人、75歳以上が2105万2千人で、差し引き約1514万人だった。この1年で約46万人減った計算になる。

つまり、起きたのは「高齢者が増えた」という単純な変化ではない。65〜74歳が約46万人減り、75歳以上が48万人近く増えて、差し引きでほぼ同数になった――という入れ替わりである。高齢化率という一つの数字を追っているだけでは、この中身の移動は見えない。

65歳以上に占める75歳以上の割合も動いている。2026年4月は59.5%で、前年同月の58.2%から上がった。高齢者のおよそ6割が75歳以上という構成だ。

なお、65〜74歳が減ったからといって、この年代が社会から退いているわけではない。総務省の労働力調査では65歳以上の就業者943万人で22年連続増 働く人の7人に1人 雇われて働く高齢者の76.1%が非正規という状態が続いており、人数が減っても働く割合は上がっている。

85歳以上は708万9千人、100歳以上は9万5千人

今回の確定値は、75歳以上の内訳も示している。75〜79歳が870万人、80〜84歳が574万2千人、85〜89歳が405万9千人、90〜94歳が222万人、95〜99歳が71万5千人、100歳以上が9万5千人だ。85歳以上をまとめると708万9千人で、総人口の5.8%にあたる。

男女差も大きい。75歳以上は男性864万1千人に対し女性1289万1千人で、女性が約1.5倍。85歳以上では男性232万3千人に対し女性476万6千人と、女性が2倍を超える。人口に占める割合でみると、75歳以上は男性の14.5%、女性の20.4%。女性は5人に1人が75歳以上という計算になる。

要介護認定率は65〜74歳が4.3%、75歳以上は31.0%

75歳という区切りが制度の上で意味を持つことは、厚生労働省の「介護保険事業状況報告」の数字にはっきり出ている。令和6年度の年報によると、2025年3月末現在で要介護・要支援の認定を受けている人の割合(認定率)は、65歳以上75歳未満が4.3%なのに対し、75歳以上は31.0%。7倍以上の開きがある。75歳以上ではおよそ3人に1人が認定を受けている。

65歳以上全体でみた認定率は19.7%で、前年度の19.4%から上がった。この全体の数字がじわじわ上がっているのは、認定率の高い75歳以上の割合が増えているためでもある。実際、介護保険の第1号被保険者3584万人のうち、後期高齢者(75歳以上)は2077万人で、前期高齢者(65歳以上75歳未満)の1507万人を大きく上回っている。前年度は前期1571万人・後期2018万人で、ここでも入れ替わりが進んでいる。その後の月報でも同じ動きが続き、要介護・要支援の認定者745万人、1年で13万6803人増 65歳以上の20.4%が認定 85歳以上では59.7%、要介護5だけ654人減のとおり、2026年7月末の認定者は744万9929人まで増えた。

介護サービスを実際に使った人は、令和6年度の1カ月平均で620万人。前年度の609万人から12万人(1.9%)増えた。第1号被保険者の総数が5万人減るなかでの増加である。医療保険でも原則として75歳から後期高齢者医療制度に移る。その制度側の確定値は75歳以上の一人当たり医療費97万1531円 後期高齢者医療の総額は19兆4830億円にのとおり、令和6年度の医療費が19兆4830億円に達している。高齢者の頭数が頭打ちでも、75歳以上が増え続ければ、医療や介護にかかる費用と人手の必要量は増える。今回の数字は、その負担が実際に動いている局面にあることを示している。

認定率がどう算出され、増えた給付を誰がどの割合で負担しているかという制度の骨格は、要介護・要支援の認定は721万人、65歳以上の19.7% 介護保険の仕組みを数字で押さえる 総費用14.3兆円は保険料と公費が半分ずつ、自己負担は原則1割 にまとめている。

次に75歳を迎える世代は小さい 最大の塊は50〜54歳

背景にあるのは、出生数の多かった世代が順に75歳に達していることだ。1947〜49年に生まれた「団塊の世代」は2024年までに全員が75歳以上に入っており、いま75歳を迎えているのはその直後に生まれた世代にあたる。戦後すぐの数年間は毎年の出生数が多く、その山が高齢者の中を移動している。

その山の形は、人口推計の5歳刻みの表で確かめられる。2026年4月1日現在の確定値で、75〜79歳は870万人。これに対し、これから75歳を迎える70〜74歳は754万2千人、その下の65〜69歳は713万7千人と、5歳刻みで100万人以上少ない。団塊の世代を含む75〜79歳がひときわ大きく、その後ろに続く世代は一回り小さいという並びだ。

それでも、75歳以上は増え続けている。より新しい9月1日現在の概算値では、75歳以上は2167万人で、4月の確定値より約14万人多い。75歳に入ってくる人数が、亡くなる人の数を上回っている状態が続いているためだ。

5歳刻みで最も人数が多いのは、50〜54歳の973万5千人である。1971〜74年に生まれた「団塊ジュニア」を含む世代で、75〜79歳の870万人をも上回る。この世代が65歳に達するのは2030年代後半、75歳に達するのは2040年代後半にあたる。

内閣府の令和8年版高齢社会白書は、65歳以上の人口が令和25年(2043年)以降に減少に転じても、高齢化率は上昇を続けると推計している。65歳以上の数が増えるか減るかと、75歳以上の割合が上がるかどうかは、別々に動く数字だということになる。

総人口は55万9千人減 子どもは2.61%減

同じ推計で、2026年4月1日現在の総人口は1億2283万8千人で、前年同月から55万9千人(0.45%)減った。内訳は15歳未満が1329万1千人で35万6千人(2.61%)減、15〜64歳が7333万6千人で22万2千人(0.30%)減、65歳以上が3621万1千人で1万9千人増となっている。減っているのは子どもと現役世代で、高齢者だけが減っていない。

総人口に占める割合は、15歳未満が10.8%、15〜64歳が59.7%、65歳以上が29.5%。75歳以上だけで17.5%を占め、総人口の6人に1人を超えている。

日本人人口は1億1892万1千人で86万人(0.72%)減った一方、外国人人口は391万7千人で30万1千人(8.32%)増えた。総人口の減少幅(55万9千人)が日本人人口の減少幅(86万人)より小さいのは、外国人の増加が差を埋めているためだ。この埋め合わせは働き手の世代で特に大きく、外国人人口が391万7千人、1年で30万1千人増 総人口の3.19%に 日本人の働き手49万5千人減のうち27万3千人を埋めるで詳しく取り上げている。

より新しい2026年9月1日現在の概算値では、総人口は1億2265万人で、前年同月から54万人(0.44%)減った。65歳以上は3624万人(29.5%)、うち75歳以上は2167万人で、総人口に占める割合は17.7%とさらに上がっている。

白書は2070年に高齢化率38.7%と推計

政府が6月に閣議決定した令和8年版の高齢社会白書は、2025年10月時点の高齢化率を29.4%と示し、2070年には38.7%に達すると推計している。およそ2.6人に1人が65歳以上になる計算だ。総人口に占める75歳以上の割合は、2070年に25.1%となり、約4人に1人が75歳以上になると見込んでいる。

白書が描く長期の姿は「高齢者の割合がさらに上がる」というものだが、今回の人口推計が示したのは、そこへ向かう途中でまず起きる変化である。高齢者の頭数が増える段階から、高齢者の年齢構成が上がる段階へ移りつつあり、必要になる支えの種類も変わっていく。認定率の差が示すとおり、この構成変化はそのまま介護の必要量に跳ね返る。

人口推計は国勢調査を基準に毎月公表されている。今回の確定値は2020年の国勢調査を基準としたもので、統計局は2025年国勢調査の人口等基本集計が公表された後に、確定人口と同人口を基準とした値へ更新する予定としている。その人口等基本集計は9月29日に公表され、2025年10月1日現在の65歳以上の割合は29.4%、うち75歳以上は17.2%という実測値が出ている(65歳以上の割合は秋田40.0%・東京22.8% 令和7年国勢調査の実測で全国29.4% 47都道府県すべてで15歳未満を上回る)。人口推計の次回公表は10月20日で、2026年5月の確定値と10月の概算値が出る予定だ。75歳以上が増える構造が各分野にどう及んでいるかは、高齢化率29.4%、65歳以上は3614万人 この5年で増えたのは17万人だけ、75歳以上は260万人増 日本の高齢化の論点を一度に見る で整理した。

総人口の水準と、9年間でどれだけ減ったかは日本の総人口は1億2265万人 2026年9月1日現在の概算値で1年前より54万人減 2016年からの9年間で382万人減った 日本人人口は569万人減で扱っている。