環境省は9月17日、第五次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況について、中央環境審議会がまとめた初回の点検結果を公表した。目標の達成見込みを評価した指標のうち、3段階で最も低い「更なる取組が必要」とされたのは、暮らしの側を測る「循環型社会形成に関する国民の意識・行動」だけだった。ものの流れを示す数字はおおむね目指す向きに動いている一方で、それを支える一人ひとりの行動が追いついていないという結果になった。

「3R」を知る人は3人に1人

国民の意識・行動は、アンケート調査で把握する指標だ。報告書に載った2025年度の結果によると、ごみ問題に「非常に」または「ある程度」関心があると答えた人は62.3%。日頃の暮らしでごみを少なくする配慮やリユース・リサイクルを「いつも」「多少」心がけていると答えた人も60.7%で、ほぼ同じ水準だった。

これに対して、3R(リデュース・リユース・リサイクル)という言葉の意味を、優先順位まで、あるいは言葉の意味まで知っていると答えた人は35.1%にとどまる。ごみ問題に関心を持つ人のうち、政策の土台になっている考え方の名前まで知っている人は半分ほどということになる。

環境にやさしい製品などを買うよう心がけていると答えた人は69.7%だった。この項目には2030年度に90%という目標が置かれており、報告書は「グリーン購入の意義について国民に更なる周知を図り、意識変革を促す取組が必要である」と指摘した。

詰め替えは6割、再生品を選ぶ人は1割未満

もう一つの調べ方が、具体的な行動をどれだけの人が実行しているかという実施率で、こちらは50%が目標になっている。

実施率が高かったのは、制度で決められていたり広く推進されていたりする行動だった。リサイクルにあたる「家庭ごみの分別回収」と、リデュースにあたる「レジ袋辞退等」はいずれも約70%。次いで「詰め替え製品の利用」が63.5%、「資源ごみのびんなどの洗浄」が58.7%で、ここまでが目標の50%を超えている。

一方、「トレイや牛乳パックの店頭回収」は34.1%。「ビールびんや牛乳びんなど再使用可能な容器の利用」や「再生原料で製造されたリサイクル製品の積極的な購入」は、実施している人が10%に届かなかった。捨てる側の手間で完結する行動は定着しているが、買う段階で選び直す行動はほとんど広がっていない、という差がはっきり出た形だ。

報告書は、この調査が現時点で想定される代表的な3R行動を項目として尋ねたものだとしたうえで、次回以降の点検では、求められる意識・行動変容の中身を精査したうえで状況の把握を進める必要があるとした。

ごみは1人1日854グラム、焼却量は横ばい

暮らしから出るごみの量そのものも点検の対象になっている。一般廃棄物の1人1日当たり排出量は2023年度で854グラムで、都市の規模を問わず着実に減ってきた。

問題は、そのうち焼却施設で直接焼かれる量だ。1人1日当たりごみ焼却量は2023年度で約662グラム。2030年度に約580グラムまで減らす目標が置かれているが、近年は横ばいで推移しており、点検では「注意が必要」と判定された。人口50万人以上の大都市と10万人から50万人の中都市では焼却量の削減が進んできたのに対し、10万人未満の小都市ではほぼ横ばいだという。

リサイクルに回る割合も頭打ちになっている。一般廃棄物の出口側の循環利用率は2023年度で19.5%。2000年度と比べればどの規模の自治体でも上がっているものの、2013年度以降の10年間で見ると、小都市と中都市では逆に下がっていた。

食品ロスは家庭・事業者とも減少続く

明るい数字もある。食品ロスは2023年度で家庭から出るものが233万トン、事業者から出るものが231万トンで、推計を始めた2012年以降、どちらも順調に減り続けている。

家庭系については2000年度の433万トンを2030年度までに半減させる目標が計画に置かれ、到達点は216万トンになる。残りは17万トンほどだ。事業系は2025年3月に改定された国の基本方針で、2000年度の547万トンから60%減らす目標に強められており、2030年度の到達点は219万トンとなる。こちらも残りは12万トンほどまで近づいている。

2年に1度の点検、全体では「注意が必要」

第五次循環基本計画は2024年8月に閣議決定された。循環型社会形成推進基本法に基づき、2年に1回程度、施策の進みぐあいを中央環境審議会が評価・点検すると定められており、今回がその第1回にあたる。審議は2025年6月から行われ、結果が同審議会から環境省に報告された。

社会全体のものの流れを示す指標では、国内総生産(GDP)を天然資源などの投入量で割った資源生産性が2023年度で約50.9万円/トン。GDPが増え、天然資源の投入量が減ったことで上向いている。最終処分量、つまり埋め立てに回る量は2000年度から2023年度までに約79%減り、6つの物質フロー指標のうち唯一「目標達成見込み」と評価された。

伸び悩んでいるのが、廃棄物などの発生量のうち再び使われた量の割合を示す出口側の循環利用率だ。2013年度の46.1%をピークに横ばいから減少に転じ、2023年度は約43.6%になった。報告書は、再生利用されずに適正処理・自然還元されている廃棄物が2023年度で約2億8800万トンあり、その多くを下水汚泥や動物のふん尿、製造業の有機性汚泥が占めると説明する。これらは水分を多く含むため全量を資源に戻すのは難しい。水分を除いた重さで計算し直すと約6500万トンとなり、内訳では動物のふん尿や稲わらのほか、一般廃棄物の紙とプラスチックの割合が高かった。家庭から出る紙とプラスチックの分別が、まだ伸ばせる余地として残っているということだ。

企業の側の指標は伸びている。リサイクルやリフォーム・リペアなどを含む循環型社会ビジネスの市場規模は、2000年度の約46.8兆円から2023年度は約70.6兆円に拡大し、2030年の80兆円という目標に対して「達成見込み」と評価された。

今回の点検結果は、2026年度に行われる第六次環境基本計画の点検に材料として引き継がれる。報告書は結びで、2回目の点検に向けて、重点分野に限らず経済安全保障や産業競争力の強化、地方創生といった課題も含めた分析と検討が求められるとした。