第39回東京国際映画祭を主催する公益財団法人ユニジャパンは11日、映画祭の運営費の一部を募るクラウドファンディングを「Makuake(マクアケ)」で始めた。目標額は390万円で、受け付けは10月9日午後10時まで。同じ日にチケット料金の改定も公表し、学生券を下げる一方、一般向けは新しい料金体系へ移す。
寄付は海外作品の上映とゲスト招へいに充てる
クラウドファンディングは、企画をインターネット上に公開して不特定多数から資金を募る仕組みを指す。今回は商品を買う形ではなく寄付として集める「寄付型」で、支援した人は所得税や住民税が軽くなる寄附金控除を受けられる。窓口に立つのは映画祭の主催団体そのもので、実行者はユニジャパンだ。
使いみちとして映画祭が挙げるのは、海外の秀作・話題作の上映と、その監督や出演者を日本へ招く費用、それに会場警備の強化である。返礼は3000円のフェスティバル・ディレクターからのメッセージとオリジナルのカラビナに始まり、2万5000円から9万円の区分では10月26日のオープニング・レッドカーペットを観覧できる。9万円以上の区分ではIDパスが付いて会期中の上映を鑑賞でき、25万円の区分には2人分のVIP観覧席が用意される。レッドカーペットの演出は、会場を日比谷地区へ移して以降で初めて作り替える。支援者とゲストが接する機会を増やす狙いだという。
映画祭のクラウドファンディングは支援額を年々伸ばしており、前回の第38回では2546万円が集まった。今回の目標390万円は、その1割強にあたる控えめな水準にとどまっている。
学生券は1400円から1100円へ、一般は新料金に
料金改定について、映画祭は「映画祭を取り巻くコスト環境の変化を鑑み、今後も映画祭を安定的に運営するため」と説明する。英語版の告知では「運営費が急激に上がっているなかで映画祭の持続性を確保するため」と、より踏み込んだ書き方をしている。
ただし一律の値上げではない。学生券は一部作品を除き、前売1100円・当日700円に下がる。前回の第38回はコンペティション部門やワールド・フォーカス部門などの学生前売券が1400円、アジアの未来やNippon Cinema Nowなど一部部門は1600円、オープニングとクロージングは2100円だった。当日券の700円は前回と同額で据え置く。映画祭は値下げの理由を「若い世代がより気軽に映画館で映画に触れ、映画祭に繋がれるよう」と記している。
一般向けには、会期中に限って使える500円割引のクーポンをメールマガジン会員に配る。一般料金を含む新しい料金表は公式サイトに掲示されている。第38回の一般料金は、コンペティション部門などが1800円、アジアの未来やガラ・セレクションなどが2000円、オープニングとクロージングが2600円だった。
賞を新設し、東南アジア映画の新部門も設ける
9月7日には「3つの新機軸」も公表済みだ。海外へ紹介したい日本映画を集めてきた「Nippon Cinema Now」部門をコンペティション化し、作品賞と審査委員特別賞を新設する。審査委員には海外の識者も加える。国際交流基金との共催で、東南アジア映画の特集上映部門「CROSSCUT ASIA+(クロスカットアジア・プラス)」も始め、インドネシアと日本のプログラマーが「Side by Side」をテーマに6作品を選んだ。
3つ目は、女性映画人をたたえる「川喜多かしこ映画文化賞」の創設である。「マダム・カワキタ」と呼ばれ東西の映画文化の橋渡し役となった川喜多かしこ氏にちなみ、公益財団法人川喜多記念映画文化財団が主催する。第1回の受賞者は映画評論家の秦早穗子(はた・さほこ)氏で、1950年代からフランスで『勝手にしやがれ』『太陽がいっぱい』『ぼくの伯父さん』などを買い付け、日本へ紹介してきた実績が評価された。贈賞式は映画祭のウィメンズ・エンパワーメント部門内で行う。
第39回は10月26日から11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座の各会場で開かれる。オープニング作品は『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』、センターピースは『ゴジラ-0.0』、クロージング作品は『コロニー』。併催の映像コンテンツ見本市TIFFCOMは、10月28日から30日まで東京都立産業貿易センター浜松町館で開く。
