東京国際映画祭は16日、10月26日から11月4日まで開く第39回に、俳優でプロデューサーのケイト・ブランシェット氏が初めて参加すると発表した。ユニクロが創設パートナーを務める「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(難民映画基金)」の助成で作られた短編映画5本の日本初上映に合わせて来日する。

上映は10月30日と11月3日の2回

5本は10月30日午前11時10分から東京・有楽町のヒューリックホール東京で上映され、終了後にゲストによる質疑応答が予定されている。11月3日午後5時からはTOHOシネマズ日比谷のスクリーン13でも上映する。上映に合わせ、『センス・オブ・ウォーター』のモハマド・ラスロフ監督と『スーパー・アフガン・ジム』のシャフルバヌ・サダト監督が、ブランシェット氏とともに関連イベントへ登壇する予定だ。

作品は、シリア出身のハサン・カッタン監督『アライズ・イン・エグザイル/故郷を追われた盟友たち』(40分)、ウクライナ出身のマリナ・エル・ゴルバチ監督『ローテーション』(12分)、イラン出身のラスロフ監督『センス・オブ・ウォーター』(39分)、アフガニスタン出身のサダト監督『スーパー・アフガン・ジム』(14分)、ソマリア出身のモ・ハラウェ監督『ウィスパーズ・オブ・ア・バーニング・セント/残り香のささやき』(28分)の5本。いずれも監督自身が避難を経験しており、英国での難民申請、従軍した女性の回復期間、亡命先で母語を失った作家といった題材を扱う。

ブランシェット氏はコメントで「衝突や迫害によって避難を余儀なくされたり、分断が引き起こされている現代の世界において、映画による物語の力は他者の経験と私たちをつなぐ上で非常に重要な役割を果たします」と述べ、「住処を追われたからといって、映画製作者が創造性を諦めるべきではありません」と続けた。

基金は昨年創設 1人あたり10万ユーロを助成

難民映画基金は2025年、第54回ロッテルダム国際映画祭で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使でもあるブランシェット氏が発表した。運営は同映画祭のヒューバート・バルス基金が担い、UNHCRが戦略パートナーに入る。避難を余儀なくされた映画制作者や、避難民としての経験を描いてきた制作者を支援するのが目的で、選ばれた5人にそれぞれ10万ユーロ(約1750万円)を短編制作費として支援する仕組みだ。

ユニクロは創設パートナーとして2025年に10万ユーロを寄付し、2026年も同額の寄付を継続すると表明している。今回上映される5本は2026年1月30日、第55回ロッテルダム国際映画祭で世界初上映された。同じ日の記者会見で基金の第2弾も発表され、5月のカンヌ国際映画祭では、昨年の東京国際映画祭で東京グランプリを受けた『パレスチナ36』のアンマリー・ジャシル監督ら5人が新たな助成対象として公表された。

東京国際映画祭の市山尚三プログラミングディレクターは5月の発表時に「このプロジェクトは、現在の不安定な政治状況の中、極めて重要な問題を提起するものです」とコメントしている。

同じ週に世界文化賞の授賞式

ブランシェット氏は来日中の10月28日、演劇・映像分野での貢献により第37回高松宮殿下記念世界文化賞を受ける。日本美術協会が9月8日にパリ、ローマ、ベルリン、ニューヨーク、ロンドン、東京の6都市で同時に発表したもので、授賞式典は東京・元赤坂の明治記念館で開かれる。受賞者には顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。

同じ回の受賞者は、絵画部門がジェニー・ホルツァー氏(米国)、彫刻部門がアンディ・ゴールズワージー氏(英国)、建築部門がダニエル・リベスキンド氏(米国)、音楽部門がヘルベルト・ブロムシュテット氏(スウェーデン)。オーストラリア出身のブランシェット氏はアカデミー賞を2度受けており、最新の主演作『ファーザーマザーシスターブラザー』は11月20日から日本で公開される。

東京国際映画祭は1985年に始まり、日本で唯一、国際映画製作者連盟(FIAPF)が公認する長編コンペティション付きの国際映画祭。今年は世界の映画祭の中でも国際的影響力の高い「Aフェスティバル」として認定された。オープニング作品は『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』で、10月26日に開幕する。