大型で非常に強い台風9号(アジア名・バービー)が2026年7月10日夜、沖縄県の先島諸島に接近した。宮古島や石垣島に加え、沖縄本島の一部も暴風域に入り、気象庁は暴風や高潮、高波、大雨への厳重な警戒を呼びかけている。台風の接近を受け、気象庁は10日午後、沖縄県内に運用開始後全国で初めてとなる「レベル4高潮危険警報」を発表した。
全国で初めての「レベル4高潮危険警報」
気象庁は10日午後2時53分、沖縄県南城市に「レベル4高潮危険警報」を発表した。その後、石垣市や竹富町にも順次発表された。
この警報は、2026年5月29日に始まった新しい防災気象情報の運用開始後、全国で初めての発表となる。気象庁は今年、避難のタイミングを示す5段階の「警戒レベル」と各警報の対応を分かりやすくするため、高潮の情報を見直した。新たな体系では、レベル5が「高潮特別警報」、レベル4が「高潮危険警報」、レベル3が「高潮警報」、レベル2が「高潮注意報」と整理された。
レベル4は、市町村が住民に避難指示を出す目安となる情報にあたる。海岸付近は浸水の恐れがあり、気象庁は満潮時刻の前後を中心に警戒するよう求めている。
中心気圧935ヘクトパスカル、最大瞬間風速60メートル
気象庁によると、10日午後10時の推定で、台風9号は宮古島の南南東約210キロを1時間に20キロの速さで北西へ進んだ。中心気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル、最大瞬間風速は60メートルで、大型で「非常に強い」勢力を保っている。
台風は11日午前に先島諸島へ最も近づく見込みで、与那国島付近では最大瞬間風速が70メートルに達するとの予想もある。一部の住宅が倒壊する恐れがあるほどの猛烈な風が長時間続くとみられる。高波は沖縄本島地方で最大12メートル、宮古島・八重山地方では最大13メートルと予想されている。
「吸い上げ」と「吹き寄せ」で潮位上昇
高潮は、台風などによって海面が普段より大きく上昇する現象だ。気象庁は主な原因として二つの効果を挙げる。一つは、台風の中心付近で気圧が低いために海面が吸い上げられるように盛り上がる「吸い上げ効果」。もう一つは、強い風が沖から海岸へ向かって吹き、海水が岸に吹き寄せられて水位が上がる「吹き寄せ効果」だ。
中心気圧が935ヘクトパスカルと低く、風も非常に強い今回の台風は、この二つの効果が重なりやすい。満潮の時間帯と重なると、潮位はさらに高まり、沿岸部で浸水の危険が大きくなる。
交通・暮らしへの影響
台風の接近で、沖縄本島北部にも暴風警報が出されるなど警戒範囲は広がっている。先島諸島を中心に交通機関の運休や欠航が相次ぐ見通しで、住民の生活にも影響が及んでいる。
気象庁は、暴風が吹き始めてからの屋外の移動は危険だとして、風が強まる前に建物の中の安全な場所へ避難し、海岸や河川には近づかないよう呼びかけている。台風は沖縄を通過した後、進路や勢力によっては奄美や九州へ影響する可能性もあり、今後の情報に注意が必要だ。