米国で、最も高性能な「フロンティアAIモデル」を、企業が一般に公開する前に政府が確認できる枠組みづくりが進んでいる。トランプ大統領が2026年6月2日に署名した大統領令に基づくもので、AIの技術革新と安全保障の両立をねらう。

公開前に最大30日、政府がアクセス

大統領令は、高度なサイバー能力を持つ最先端モデルを「対象フロンティアモデル(covered frontier model)」と位置づける。開発した企業は、政府にモデルを確認してもらうため、一般への公開前の最大30日間、政府にアクセスを提供できる。政府は、そのモデルを先行して使える「信頼できるパートナー」を選ぶほか、弱点(脆弱性)を検出するための評価手法(ベンチマーク)づくりも進める。

ただし大統領令は、AIモデルの開発や公開に対して義務的な政府の許可制や事前認可を設けるものではないと明記している。あくまで企業の自主的な協力を前提とした仕組みだという。関連する枠組みは署名から60日以内に整えるとされ、期限は8月初旬にあたる。

OpenAIの新モデルは段階的な公開に

この枠組みは、すでに具体的な影響を及ぼし始めている。複数の報道によると、政権はOpenAIに対し、新モデル「GPT-5.6」の公開を段階的に行い、当初は承認された少数の組織にだけ提供するよう求めたとされる。安全性に関する懸念を評価する間の措置とみられる。

最先端のAIは、サイバー攻撃や兵器開発など悪用のリスクも指摘されており、性能が上がるほど、公開のあり方をどう管理するかが国際的な課題になっている。米政府の動きは、開発企業に安全性の確認を促す一方、最新モデルが世に出るまでの時間に影響する可能性がある。

日本の利用者にも関わる話

日本の企業や個人も、米国企業が開発する最先端のAIを日常的に使っている。フロンティアモデルの公開が段階的になったり、利用できる組織が絞られたりすれば、日本での提供時期やサービス内容にも波及しうる。安全性の確保と、便利な技術を早く広く使えるようにすることのバランスをどう取るかが、米国の枠組みづくりを通じて問われている。この枠組みの具体像は、8月初旬までに示される見通しだ。