警察庁は、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)の開会式が行われた9月19日、会場となった名古屋市瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)と、その周囲おおむね1000メートルの地域の上空で、ドローンなど小型無人機を飛ばすことを禁止すると官報で告示した。名古屋市西区のホテル「エスパシオナゴヤキャッスル」も、19日から20日までの2日間、同じ扱いとなった。アジア大会は10月4日に閉会したが、同じ競技場とホテルは10月18日に開く第5回アジアパラ競技大会の開会式に向けて再び指定されており、この枠組みの使われ方が続いている。

競技場は19日、ホテルは19日から20日まで

警察庁警備局警備第一課が9月7日付で公表した広報資料によると、指定は小型無人機等飛行禁止法(平成28年法律第9号)第3条の2に基づくもので、2つの施設が「対象特別要人所在施設」とされた。期間は名古屋市瑞穂区山下通五丁目一番地の瑞穂公園陸上競技場が9月19日の1日、名古屋市西区のエスパシオナゴヤキャッスルが9月19日から20日までの2日間だった。

禁止の対象は施設の敷地や区域の上空だけではない。同法は、対象施設の敷地・区域とあわせて「その周囲おおむね1000メートルの地域」を対象施設周辺地域と定めており、告示ではこの周辺地域も図面で示された。競技場の真上でなくても、半径1キロほどの範囲に入れば飛ばせない。

敷地の上空は1年以下の拘禁刑、周辺でも罰則

愛知県警察の説明では、規制は2段階に分かれる。対象施設の敷地や区域そのものの上空は「レッドゾーン」と呼ばれ、ここで小型無人機を飛ばした場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される。その周囲おおむね1000メートルの「イエローゾーン」でも、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となる。

禁止の対象になるのは、いわゆるドローンだけではない。愛知県警は、気球やハンググライダー、パラグライダーといった「特定航空用機器」を使って人が飛ぶことも同じように禁止されると説明している。

例外がないわけではない。愛知県警によると、施設の管理者の同意を得たうえで、飛行の48時間前までに管轄の警察署を経由して愛知県公安委員会へ通報すれば飛ばすことができる。通報はe-Gov電子申請でも受け付けており、施設管理者の同意書の写しなどの添付が必要になる。どこまでが禁止区域なのかは、警察庁が案内しているとおり国土地理院の「地理院地図」でレッドゾーンとイエローゾーンの範囲を重ねて確かめられる。

「天皇か首相が所在する施設」を期間限定で指定する新制度

今回使われた「対象特別要人所在施設」は、それまで法律になかった区分だ。警察庁がまとめた改正法案の要綱によると、2026年の改正で、天皇または内閣総理大臣が所在する施設を、警察庁長官が安全を確保するために必要な期間を定めて対象施設に指定できる規定が新設された。外国要人が参加する国際会議の会議場施設を外務大臣が指定できる規定も、あわせて設けられている。警察庁は、指定が同法施行規則(平成28年国家公安委員会規則第9号)第2条の2の基準に従って行われると説明している。

改正ではこのほか、対象施設周辺地域の範囲を敷地・区域の周囲おおむね1000メートルに広げ、周辺地域の上空で飛行させた場合の罰則も新たに設けられた。

常時指定されている施設と比べると、この区分の特殊さがはっきりする。警察庁の指定関係のページには、国会議事堂や衆参の議員会館、内閣総理大臣官邸・公邸、皇居、赤坂御用地、最高裁判所庁舎といった「国の重要な施設等」が17施設、内閣官房から防衛省までの「対象危機管理行政機関の庁舎」が20庁舎並ぶ。ほかに対象政党事務所が自由民主党本部・公明党本部・日本共産党中央委員会の3か所、対象外国公館等がアメリカ合衆国大使館・イスラエル国大使館・中華人民共和国大使館の3か所、対象空港が新千歳・成田国際・東京国際・中部国際・大阪国際・関西国際・福岡・那覇の8か所、対象原子力事業所が泊発電所から再処理事業所まで22か所ある。これらが期限なく指定されているのに対し、特別要人所在施設は要人の滞在に合わせて数日だけ指定され、期間が過ぎれば外れる。告示は、どの要人がどの施設に滞在するかまでは明らかにしていない。

アジアパラ大会の開会式でも、同じ競技場とホテルを再指定

アジア大会が終わっても、瑞穂公園陸上競技場に対する規制は一度で終わらなかった。組織委員会は10月8日、第5回アジアパラ競技大会の開会式が開かれる10月18日について、競技場の区域とその周囲おおむね1000メートルの地域の上空でドローン等の飛行が原則として終日禁止されると公式サイトで周知した。飛行させる場合は大会主催者の同意を得たうえで警察への事前通報が必要だとしている。

警察庁の指定関係のページでは、10月9日時点で瑞穂公園陸上競技場が10月18日、エスパシオナゴヤキャッスルが10月18日から19日までと記載されている。9月の開会式と同じ2施設、ほぼ同じ構成で、期間だけが差し替わった形だ。

愛知県によると、アジアパラ競技大会は10月18日から24日までの7日間で、メイン会場は瑞穂公園陸上競技場、アジアの45の国と地域が18競技を争う。1975年に始まった「極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会(フェスピック)」を引き継ぐ大会で、アジアパラリンピック委員会(APC)が主催する。

新制度の指定は4件、東京・馬事公苑やホテル青森にも

対象特別要人所在施設の枠組みは、アジア大会以外でも動いている。警察庁のページに並ぶ対象特別要人所在施設は10月9日時点で4件で、名古屋の2施設に加え、東京の馬事公苑が10月3日の1日、青森市のホテル青森が10月10日から11日までの2日間、それぞれ指定されている。管轄はそれぞれ警視庁と青森県警察だ。

常時指定の施設が一覧に積み上がっていくのとは違い、この区分は期間が過ぎた指定が一覧から外れていく。9月の名古屋を含め、要人の日程に合わせて数日ずつ指定を重ねる使い方になっている。

大会は10月4日に閉会、規制の案内はアジアパラへ

日本オリンピック委員会(JOC)によると、アジア大会は9月19日から10月4日までの16日間、愛知県と名古屋市を中心とする53会場で行われ、アジアの45の国と地域が43競技を争った。日本での開催は1994年の広島大会以来32年ぶり3度目だった。組織委員会は、10月4日に大会が閉会したと公式サイトで伝えた。開会式当日にはアジア大会の開会式当日、ブルーインパルスが愛知上空を飛行 小牧基地発着の経路と通過時刻を公表 久屋大通公園で演目で伝えたとおり航空自衛隊の飛行もあり、競技ではアジア大会の金メダル第1号は北條巧 トライアスロン男子52分56秒で日本5連覇 女子は連覇止まり林愛望が銅のように日本勢の結果が続いた。

空の規制や交通規制、来場ルールの告知は、いまはアジアパラ競技大会に向けたものへ移っている。瑞穂公園陸上競技場の周りで飛ばす予定がある人にとっては、10月18日が2度目の締め切りになる。