日本銀行は1日、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表した。景気の現状を示す大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス22で、前回3月調査から5ポイント改善した。企業の景況感は大企業を中心に上向いたが、数か月先については慎重な見方が広がった。

そもそも「短観」とは

短観は、日銀が全国の企業に景気の実感を尋ねる調査だ。3か月ごとに年4回行い、今回は約9100社が回答した。企業の生の声を集めた調査として注目度が高く、日銀が金融政策を判断する際の重要な材料の一つになっている。

中心となる指標が業況判断DIだ。景気が「良い」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた割合(%)を差し引いた数字を指す。

たとえば今回、大企業・製造業では「良い」と答えた企業が27%、「悪い」が5%だった。この差の「22」がDIの値で、記事では「プラス22」と書く。「ポイント」という単位も、この割合の差のことだと考えればよい。プラスの数字が大きいほど「良い」と感じる企業が多く、マイナスなら「悪い」が上回っている状態を表す。前回より数字が大きくなれば、景況感が上向いたという意味になる。

大企業は改善、中小企業とは差

大企業・製造業のDIはプラス22で、3月調査のプラス17から改善した。自動車や機械などモノづくりの大企業で、景気が良いと感じる割合が増えた。飲食や小売り、運輸などの大企業・非製造業もプラス37(3月はプラス36)と、高い水準を保った。

一方、規模の小さい企業の見方は厳しめだ。中小企業・製造業はプラス9、中小企業・非製造業はプラス15にとどまり、大企業との差が続いた。中堅企業・全産業はプラス22、企業の規模や業種をすべて合わせた全規模・全産業ではプラス18だった。

業種で分かれた明暗

大企業・製造業を業種別にみると、水準は分かれた。紙・パルプと生産用機械がともにプラス40、はん用機械がプラス38と高かった。一方、鉄鋼はマイナス6と、大企業・製造業で唯一「悪い」が「良い」を上回った。非製造業では、不動産と建設がともにプラス52と高い水準だった。

先行きは慎重な見方

今回の短観で目立ったのが、3か月後の先行きに対する慎重な見方だ。大企業・製造業の先行きはプラス17と、現状から5ポイント低い。大企業・非製造業もプラス28と9ポイント、全規模・全産業もプラス11と7ポイント、それぞれ低下する見通しとなった。

先行きの数字が現状を下回るのは、企業がこの先の景気に不透明感を感じているためだ。慎重な見方が強まると、設備投資や賃上げの判断に影響する可能性がある。

コスト高の重荷は続く

仕入れコストの重さも続いている。大企業・製造業では、自社の製品を「値上げした」から「値下げした」を引いた販売価格判断DIがプラス40。これに対し、原材料などの仕入れ値についての仕入価格判断DIはプラス62と上回った。仕入れ値の上昇に、販売価格への上乗せ(価格転嫁)が追いついていない状態が残る。

円安を前提に

今回は第209回の調査で、回答期間は5月28日から6月30日まで。全国の9141社が回答し、回答率は99.4%だった。企業が事業計画の前提に置く2026年度の想定為替レートは、大企業・製造業で1ドル=151円台。前回3月調査の150円前後より円安方向に見直された。円安は、輸出企業が海外で得た売り上げを円に換算する際、採算を押し上げる方向に働く。